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空きビル

作者: ちほ☆

幸福な家庭だった。

長女の香住は優しい子。明るくて友達もすぐにたくさんできて、カリスマ的な存在だったと言えよう。香住は小さな頃から相手の考えることがわかり、すぐに 「相手の場合になってみると……」と考えていた。


あんな出来事がなければこんな性格にはならなかっただろうに…。


2600年香住の母親香は洋輔と結婚した。デキ婚だったが。結婚して数か月して香住が生まれた。

初めての子供であったこともあり洋輔は生活費・養育費を、香は教育・家事にお互い力を入れた。そぅ、二年間ほどはそんな生活が続いていた。

幸せ過ぎていた。洋輔も香も力を入れすぎた。

悲劇は起きた。

「死にたい」      洋輔が仕事から帰ってくるなり言いだした。香は洋輔を見た。目が…目が生きている人の目とは思えないほど黒くゆがんでいた。  「毎日仕事忙しくて疲れたんだよね。私も頼りきってたところもあったよね。今日はもう寝なよ。香住には私から言うからさ。」  洋輔は頷いて寝室へ向かった。香は座り込んだ。今までの洋輔ならあんなこと言うはずがない。心配になった。明日病院に連れていこう。丁度明日は会社が休みの日だ。        「お父さんは?」    「お父さんは疲れちゃったからもう寝ちゃったよ。香住も早く寝なよ。」

「はぁい」

翌日

香は洋輔を連れて市民病院に連れてきた。     「ストレス性のうつ病です。お薬を出しておきますので朝、昼、晩、寝る前に必ず飲んでください。また一週間後にきてください。」うつ病…。香の目に涙はなかった。香はその場にしゃがみこんだ。

十ヵ月後、奇跡が起きた。洋輔がまた以前のように元気になったのだ!洋輔はこの十ヵ月間影で支えてくれている香の為に、本気で心配してくれている香住の為に、薬を欠かさず飲み、安静に過ごしてきた。念をおされて香と洋輔は病院にきた。

「奇跡です!以前のように表情も暗くないし、目もちゃんと正常だ。念のため残りの薬は全部飲んでください。もう病院にはこられなくて結構ですよ!」

やった!本当に洋輔が治った!これから幸せな家庭が………………。ドターン!香が倒れた!洋輔が急いで医師に診察してもらった。

「彼女もうつ病です。さっき倒れたのはめまいと睡眠不足のせいでしょう。お薬をだしておきます。」

俺が飲んでいる薬とほとんと同じだ!なんて思いながら二人で家に帰った…。 「ごめっ………っ。治ったばかりなのに……っ」

と、泣きながら言う香を洋輔はそっと抱いた。香住はもう寝ていた。

一年後、長男大和が生まれた。香住四歳、大和零歳。四年後。香住小学校三年。大和四歳。悲劇は起きた。香が信仁という男と浮気をした。万引きもした。

洋輔はキレた……。

「そんなにここにいるのがいやなら出ていってくれても構わない!!」

香は言い返せなかった。 香住は香に言った。

「あたしはお母さんの好きにすればいいと思う。お母さんの人生なんだからさ。お母さんが何をどう選ぼうとあたしは干渉しない。」なんて大人びたことをいうのだろう。でも香は理由を知っていた。だから香はただ‘ありがとう’としか言えなかった。

結局香は出ては行かなかった。

一年半後。香住もうすぐ五年生。大和もうすぐ一年生。ちょっとした出来事が起きた。香住が頭痛を理由によく早退してきたのだ。

洋輔と香は嫌な予感がした。二人は香住を病院に連れていった。

「だいぶストレスが溜まっていますね。お薬を出しておきますね。」

香は信仁と切れてなかった。香は香住の一件があった後から信仁に対して暴力的になった。それに頭にきた信仁は暴力を振ってしまった。香はよく鼻を折ったり、コート(服)に血を付けて帰ってきていた。

香が薬をたくさん飲んで二、三日間眠り続けることはよくあった。四月の半ば頃香は薬をたくさん飲んで寝てしまった…。

香が眠って三日目。

香住と大和が行っている学校では『一年生を迎えるかい』が行なわれていた。二人は家に帰ってくるなり、別々の行動をとった。大和はゲーム、香住は香の様子を見に行った。なかは暗く、香は布団のなかで横になっていた。香住が香の顔を覗いてみると…!目は半開き、口からは血が一筋垂れていた。顔は冷たかったが、背中はものしごく暖かかった。死因は脳内出血だった。

香住は中学一年の終わり、姿を消した。香住の姿はある古びた空きビルの一階にいた。ある男と一緒に…。そぅ、信仁だった!

香住は知っていた。香が脳内出血になったのは信仁に殴られたり蹴られたりの暴行を受けたためだった。

洋輔はそのことを知っていたが、あえて黙っていた…。

「ここで決着を付ける!」大の大人相手に女子中学生が勝てるはずがなかった。

「お母さんごめん。仇打てなかった…。大和、お父さん…大好きだったよ……」香住はその場に…倒れた……………………。


香住の目には涙はなかった。優しい眼差しだけがただただ残った…………。

洋輔は再婚をし、女の子を一人授かった。名前は香住…。再びサバイバルが始まった……!

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― 新着の感想 ―
[一言] どうして冒頭の香住の性格になったか、わかりませんでした。 地の文の視点もばらばらだった気がします。
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