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エピソード3 盟主ゼロス

 俺はゼロス。異世界転生者だ。

 このナーロッパにスローライフに来た。盟主ゼロスだ。


 全てが順調だった。

 俺は土地を得て、金、名誉、女。全てを手に入れた。


 ただ嫁だけが居ない。

 はぁ、ヤレヤレ。今日も俺目当ての女たちがやってくる。

 まったくヤレヤレだぜ。


「私はゼロスのお金だけが目当てなんだからね!」


 その中で異彩を放っていたのはこの女だ。

 どこぞの商人の令嬢。貴人の遠縁だったか。それすらも憶えていない。

 だが、どちらにしろ面白れぇ女というのが俺の見解だ。

 他の女は飽き飽きだ。たまにはこういう奴が居ないとな。


 その女は本当に何もできない奴だった。

 なんの教育も受けていないのか。俺に献上するには足りなすぎる。

 厄介払いの後受けは俺への反逆ではないのか?

 それぐらいに手間のかかる女だった。


 俺のお気に入りという事でその女は他からもちやほやされるようになった。

 俺が目をかけているんだ。当然だな。

 それでもその女は態度を改めなかった。


「私は、ゼロスのお金だけが目当てなんだから」


 そうだな。それも面白い。

 俺はスローライフに飽きていた。

 この国の資本を手に入れるのも面白れぇかもな。


ーーー


 全てが上手くいった。

 今では国でさえ俺に頭を下げる。

 俺の敵は誰もいなかった。

 ただ一人を除いては。


「ゼロス。どうしてそんなにお金が欲しいの?」


 ヤレヤレ。誰のせいでこんな事をしていると思っている。

 金だけが目当てなんだろう?

 そう言うとその女は俺の手から離れた。


 ヤレヤレ。俺以上に金を持つ男が居るわけないだろう。

 金があればあの女も俺の元に帰ってくる。

 だが、あの女は金以外の何かを求めた。

 俺以外に。


ーーー


「お金を、ください。ゼロス・・・様」


 ヤレヤレ。最初からそういえばよかったのだ。

 だがそう言って頭を下げるこの女に俺は苛立ちを感じていた。

 その見返りにこの女自体が入っていない。

 金があるんだ。俺の所に来い。

 そう言ってもその女は首を縦に振らなかった。


ーーー


 その女が死んだ。

 その家はボロ屋だった。

 その家の周りにはヤジを飛ばす者達。俺が用意した手下たちだ。

 もういいぞと金を払って止めさせる。

 ヤレヤレ。ここはファンタジー世界だ。

 金で命なんて簡単に買えるんだぜ?


ーーー


「蘇生に失敗しました」

「おいおい。俺を相手にぼるとは良い度胸だな。何度目だ? 次はお前の蘇生を始めてもいいんだぜ?」

「違います。魂が拒否しています。特に・・・あなたの呼びかけに」

「なんだと? これだけの金を用意して待っているんだ。何が不満だ? オーケー。わかった。お前にも同額を用意する。それで満足か?」

「違います。彼女の求める物をあなたが用意していない。心当たりはありませんか?」

 あの女が金以外に求める物? 新しく作った男か?

「オーケー。蘇生は先に男からだ。こいつの魂を呼び戻せ。そしてその女の魂を呼び寄せろ」


ーーー


「僕には無理ですよ」

 ようやく蘇生に成功した男は開口一番そう言った。

 こいつの蘇生にどれだけの手間がかかったと思っている。

「彼女は僕を愛していない。彼女が愛していたのはあなただ。ゼロス」

 あん?

「僕はそれでも彼女を受け入れた。そして僕は彼女を守れなかった。どうか彼女を守ってあげてください」

 あん?

「守ってるだろうが。今もこうして迎えるのにどれだけの金と時間をつぎ込んでると思っている」

「なぜ彼女を愛さないのです?」

「アイツが欲しいのは金だ。だから俺はかき集めた。この世の富をアイツに見せつけるためにな。これでアイツは俺を愛するだろう? 違うのか」

「愛しているでしょう? 彼女がどれだけあなたを愛していたか。僕は最後まで彼女の愛を得られなかった。それを持った男がこんな男だったなんて・・・」

「何を言っている。アイツの愛の為に国中の金を集めた俺がこんな男だと? オーケー。それは飲み込もう。それで何が欲しい。俺はアイツが帰ってくればそれでいい」

「なぜ彼女を愛さないのです!」

「俺はアイツが求める物を用意した。それが答えだ。次はアイツが俺に応える番だ」

「彼女に愛を。ただそれだけでいい。愛しているとあなたの思いを彼女に伝えて下さい。それだけでいい」


ーーー


「愛しています。だから彼を解放してください」

 男を痛めつけるとアイツが帰ってきた。

「最初からそうしていりゃいんだ。お前の大好きな金があるぞ。この世の富だ。嬉しいだろう?」

「・・・はい。嬉しいです。だから彼を解放して・・・!」

 ヤレヤレ。そんなにその男が大事か。

「オーケー。まずはそっちからだな。これで憂いなくお前は俺の下に帰ってくる。それでいいな?」

「はい」


ーーー


「見ろよ! この世の富だぜ! この豪邸も、富も名誉も権力もセットだ! お前が欲しがってたもの全部セットだぜ? いつもの台詞を言ってみろよ」

「私は、ゼロス様の愛が欲しかった・・・」

「らしくねぇな。それはもういいって。遠慮するな。俺達の仲だろ? いつもみたいに喜んでいいんだぜ。お前の為に用意したんだからな」

「嬉しい・・・です。ゼロス様は私を愛してくださいますか?」

「堅苦しいな。ゼロスだろ。呼び捨てにしろよ。愛なんていらねぇよ。存分に楽しもうぜ!!!」


ーーー


 何故だ。何が手に入ってねぇ。

 アイツが笑わねぇ。

 アイツの望みはなんだ? あの男か? あの男を成仏させたのが失敗だったのか。

 クソッ。こんな事なら残しておくべきだったぜ。

 次の男か。それを用意すればアイツも満足するだろう。


ーーー


「なんだ? 用意した男じゃ物足りなかったのか?」

「ゼロス。私を愛して」

「勿論だぜ。俺の体が欲しかったのか。最初からそう言えよ。馬鹿な女だな」

 俺が行為を始めると、その体は重く冷たくなっていった。


 ・・・俺は、女を愛する機能を失った。


ーーー


「蘇生だァァァ!!! なにが出来ない!? 金か!? 男か!?」

「違います。自ら命を絶ったものを呼び出す事は出来ません」

「オーケー。その仕様は理解した。それでどうすれば蘇る?」

「我々にも術がないのです」

「オーケー。なら資金追加だ。その術を探せ。俺も加わるぜ。このゼロス様が加われば出来ないなんて事はねぇ!!!」


ーーー


「それで何をしに来た盟主よ」

「クレームだ。蘇生の仕様に問題がある。今すぐに改善だ。何が欲しい?」

「お前の望みはなんだ?」

「蘇生の仕様変更だ。誰でも金で呼び出せるようにしろ。追加資金で100%蘇生でもいいぜ」

「ではそれには全ての資産を使う事としよう。全てだ。残すものは何もない」

「おいおい。落ち着いて話しあおうぜ神様。蘇生させるのに文無し素寒貧とは大きく出過ぎだ」

「それほどの覚悟と犠牲を強いてでもまた会いたいと思うのであれば、自ずとその魂は惹かれて戻ってくるだろう。返答は如何に?」

「それじゃアイツはどうなる。蘇生させても素寒貧じゃ意味がねぇぜ」

「お前であれば何も問題がないだろう盟主。ゼロからのスタートに不安はなかろう」

「俺じゃねぇ。アイツだ。アイツは金が大好きなんだ。国中の富を集めてもまだ足りねぇ。強欲で底なしの女さ。ゼロの俺に付いてくるわけがねぇ」

「何故そこまでしてその女を蘇生させる。お前の望みはなんだ?」

「アイツと一緒に居たいだけさ。何か不思議な事か? 神にとっちゃ取るに足らねぇことかもしれないがな。わかったらまけてもらおうか。あんたに金は必要ねぇだろう?」

「ならば差し出された富と資産は彼女に与えるとしよう。返答は如何に?」

「おいおい。話を聞いてなかったのか神様。それじゃ意味がねぇだろ。俺がアイツと居られなけりゃ意味がねぇって言ってんだ。理解が出来ねぇのか?」

「理解していないのはお前だ盟主。なぜあの娘を信じられぬ」

「信じてるだろ。それが今の俺だ。アイツを理解できるのは俺だけだ。神が知った口をきくな」

「交渉は決裂だな。盟主よ。帰らぬものを待つよりも新しい出会いを求めるがいい」

「オーケー。悪かった。神様に対して不遜だったぜ。何が必要だ? お祈りか? お布施か? アンタの望むことを言ってくれ。素寒貧は無しだ。アイツがどこかに行っちまうからな」

「ならばその娘に愛の宣誓を。全てを捨ててでも愛していると言葉にせよ」

「おいおい。何の悪ふざけだ? 神の宣誓で言葉だけです、とか通用するのか?」

「通用しない。全てを捧げてでも彼女を愛し共に居ることを誓えるか」

「捨てたら共に居られねぇだろ。何を言ってるんだお前は。俺を破滅させる気か? 俺の敵ならそう言えよ。まだるっこしいぞ。神よ」

「・・・時間切れだ。愛を叫べぬ男よ。彼女の魂はこの地から去った」

「てめぇ!!! 時間稼ぎか!!!」

「そうだ。時間を稼いだ。あの娘の時間をな。なぜ愛してると言葉に出来ない」

「何度も言ったさ。それがどうした」

「伝わらなければ言葉ではないのだ。彼女の残した言葉だ。お前を愛していると」

「ならばなぜここに居ない! 俺に会わない!」

「愛し合えないからだ。なぜ愛してると言葉に出来なかった。あの娘に伝えなかった。お前が愛していたものはなんだ?」


ーーー


 俺は戻ってきた。俺の豪邸を守るための要塞を作り上げている。

 全て俺のモノだ。誰にも渡さない。

 富も地位も権力も全てが俺のモノだ。

 この地に送られる金銀財宝が俺の全てだ。


 今日もまたそれを奪おうとする輩が居る。

 それを撃退し、俺の財宝がまた増える。

 もう女も必要ない。

 ただ堪り続ける俺の資産に俺は愛を見ているのだろうか。


ーーー


 その全てが奪われた。

 俺の愛が奪われる。

 だがそこに何も感じない。

 俺が愛したモノは何だったのか。


ーーー


「久しいな盟主よ」

「・・・」

「何故ここに居るのかわかるか?」

「・・・」

「お前はやり過ぎた。富をあまりにも吸い上げすぎた。あれがお前の愛なのか?」

「・・・」

「お前はあまりにも危険すぎる。このまま輪廻に戻る事は出来ない。神にさせてもらうぞ」

「・・・」

「そしてお前の魂は環視の中で監視される。完死するまでな」

「・・・」


「異世界を巡る魂よ。お前の安住の地は

 神々が集まり見守る惑星であり

 神を捕らえた牢獄であり

 終わった神が確実に死ぬ惑星

 囚神監視惑星だ」


ーーー


 俺の刑務が始まった。

 召喚し、呼び出された部品を組みたて、武器を作る。

 難度の低い仕事だ。

 俺はそれを元に召喚のプロセスを改善する。


 誰でも銃器を扱える初心者プリセット。

 それが出来たことで俺はお役御免。戦いの場に駆り出される事になった。

 朝に起き、朝食を食べ、訓練をする。

 実戦は訓練よりも楽だ。

 敵の思考をパターン化し、最適な位置に銃弾を用意すれば敵が当たりに来る。

 

 いつもの日常だ。

 これが俺の愛したものなのかもしれないな。

 何も変わらない日常。

 それを守るために俺は戦いを続ける。


 今日もまた死にそうな奴が降りてきたな。

 女か。

 俺の日常を壊さなければいいが。


本編

異世界配信惑星ファンタジーライブマスター衆神環視惑星へ

https://ncode.syosetu.com/n1587ld/


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