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半幼馴染のくまおくんと桐子ちゃん  作者: しゃろんぱ


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9/13

回復 9

「ごちそうさまでした。」


オムレツを食べ終わって、満足そうなお父さん。


「桐子のご飯がおいしい。」


「ありがとう。お母さんが料理を教えてくれたからだよ。ありがとう。」


3人で食後の紅茶を楽しむ。とりあえず、今すべてを解決しなくてももう少しだけ待ってもいいよね。少し考える時間をもらって、試験の結果が分かってからもう一度ちゃんと話しあいをすることになった。


少ししたら拓海君がトイレに行く音が聞こえた。


「起きたみたいだね。お父さん体調チェックに行ってきます!!」


「スポドリ持ってって。後、何か食べられそうなら、ゼリー、プリン、アイスクリームとかあるし、蜜柑もあるよって教えてあげて。おかゆとかうどんでも作れるし。」


立ち上がったお父さんにお母さんが声をかける。


「薬は枕元?」


「置いてある。」


******


水分補給をした後、熱を計ったら下がっていたので薬は飲まないでもう少しだけ眠ることにしたらしい。次に起きたときに体調がよさそうなら何か食べたい。食べるならうどんがいい、という事だった。


『好きな食べ物は知ってるんだよね。』と微笑みがこぼれる。


「お父さん、今日、私とデートしない?お昼ご飯食べで、私の好きなケーキ屋さんに行って、春のケーキが食べたいわ。季節限定のが今出てるはずだから。桐子、拓海君が起きたときに食べられる様ならうどん作ってあげてくれる。留守番になっちゃって悪いけど、いいかな?お土産にケーキ買ってきてあげるから。」


お父さんがあわてて、


「ちょっと、京子さん、今二人きりに」と言いかけるのに


「いいから。二人でお出かけって久しぶりよね。準備しましょう。楽しみだわ~。あとはお願いね、桐子。ありがとう。ちょっとおしゃれしちゃおう。気合い入れるから一時間くらいかかると思うけど、いいかな?お父さん、あのスポーツコートでお願い。私あれ、すごく好きなの。あのスポーツコート来たお父さんかっこいいんだもん。」


それを聞いてでれでれになったお父さんはおかあさんと二階に上がっていった。その間に食器を洗って片付けを済ませてしまおう。でも、二人になる。二人()()になる。また、心臓の鼓動が早くなる。拓海君、昨日のこと覚えてるのかな、覚えてないのかな。どうなんだろう。


とりあえず、居間に移動してテレビをつけてみる。受験で見る機会のなかったたくさんの映画や外国のドラマで見たいものが山積みになっている。その中から一つ選んで、再生する。画面の中で人が動いて何か言ってはいるけれど全く頭に入ってこない。ソファーの足元の床に座って膝を抱えて固まっている自分に気が付く。自分で考えているよりも、かなり動揺している。告白は、今日じゃないよね。拓海君体調悪いし。もう少し待とう。うん、それが正しい。そうしよう。と自分で自分に許可を与える。少し緊張が和らいだ。ほんの少し。


二人が降りてきて、


「夕ご飯はうちで食べるけど、肉じゃがの残りとかあったでしょ。お魚もあるし。だからお味噌汁だけ作っておいてくれるかな。あとは帰ってからお母さんがやるから。お土産楽しみにしててね。帰る前に連絡するからね。」


玄関までついて行って二人を送り出す。扉が閉まると、和らいだはずの緊張が戻ってきた。とりあえず、熱も下がったって言ってたから部屋を覗くのはやめておこう。大丈夫だと思うからそっとしておいて眠らせてあげるのが一番だよ。そうだよ。


気を紛らすために、音楽をかけて、スマホでシンガポールのことを検索してみる。シンガポールに駐在している人たちのブログを読んでみる。なんだか楽しそう。きれいな街で住み心地もよさそう。そういえば、少し前にシンガポールのお金持ちを題材にした映画があったよな、と思い出し、検索して、それを見てみることにした。映画を見て、笑って、少し泣いた。シンガポールに行ってもお父さんもお母さんもこういうお金持ちとは縁のない生活をするだろうけど。


そろそろ拓海君起きてくるかな、とスマホを見たらお昼過ぎていた。様子見たほうがいいのか、どうかな。どうしよう。そっとしておこう。


ドラマを見ていたら、拓海君、お手洗い、らしい。居間から顔を出して待機。深呼吸をする。


「おはよう、拓海君。よく眠れた?食欲あるなら何か作るけど。熱計ってみた?」


「うん、面倒で無かったらうどん食べたいな。まだ。計ってみる。たぶんもう平熱位だと思う。今夜は家に帰って寝ても大丈夫だと思うよ。」


という返事が返ってくる。


「一応、お母さんの許可取って。今夜帰ったらたぶんお母さん怒ると思うよ。私も怒られると思うし。なんで帰らせたって。今晩まで泊まってくれた方が問題が少ないと思う。」


「あ、それ分かる。」と拓海君。


二人で顔を見合わせて笑ってしまった。やっぱり、好きだな。と思って、目をそらす。しまった。


「うどん作るから横になってて。出来たら持って行くから。」


台所へと向かう。さっさと作って持って行ってあげよう。準備はしてあったのでさほど時間もかからず出来上がったうどんをもっていってあげたら、とても喜んでくれて美味しそうに食べてくれた。


食べている間に、不自然なほどちらちらとこちらを見る拓海君。何か言いたげだけど、言わない。


「食べ終わったら呼んでくれれば、器取りに来るから。」


という私に、あわてて


「ここに一緒にいてくれて構わないから。一緒にいて。もうすぐ食べ終わるし。」


急いで食べ過ぎたのかゴフ、ゴフと咳をして慌てて水を飲む。


「ゆっくり食べて。ここで待ってるから。」


入試が終わってほっとしたことや、会えなかった間に起こったいろいろなことを私が一方的に話した。それをうどんを食べながら、時折短い質問を交えて聞いてくれた。食べ終わって、フーっと一息ついて落ち着いたらしい。そして、今朝のシンガポールの話をした。


「シンガポール?」


拓海君もかなりびっくりしたらしい。


「おじさん、転勤があるかもしれないみたいなことは言ってたけど、国内だと思ってた。シンガポール?」


少し考えた後、


「桐子はどうするの?いっしょにいくの?」


「今朝聞いたばかりだし、まだしっかりとは考えてないけど、本命の大学に受かったらそこに行きたいから。合格できてたらこっちに残って独り暮らしすることになると思う。」


「そうなんだ。」


そういった後、拓海君は思いつめたように居住まいを正して土下座する。


「桐子、昨日はごめん。」


「えっ?」


「昨日の夜、ごめん。桐子に抱き着いたこと。ごめん。順番がめちゃくちゃになった。ちゃんと告白して了承してもらって、けじめをつけてからじゃなきゃいけなかったのに。」


「昨日の記憶あるんだ。」


奈々がどや顔で『ラッキースケベ!!』と笑っている顔が頭に浮かんだ。じゃなくて、今拓海君、”告白”って言ったよね。


「本当はもっとちゃんとしてもっとロマンチックに女の子が喜ぶようなところに連れて行って告白しようと思ってたんだけど。桐子、好きです。家族とか、妹とかそういうのでなくて、ちゃんと一人の女の子として桐子のことが好きです。だから、付き合ってください。遠距離になっても、シンガポールに行ってもいいから、桐子と付き合いたい。」




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