表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半幼馴染のくまおくんと桐子ちゃん  作者: しゃろんぱ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/13

発熱 7 *

一応のR15です。必要ないかも、とも思ったけど。念のため。

拓海君の枕元にある体温計に手をのばしたら、拓海君の腕が伸びてきてガシッと腰をつかまれた。


「ひっ。」っと小さな悲鳴が上がってしまったけれど、何とか声を殺して状況把握に努める。


「拓海君、大丈夫?」


返事はない。


ぐっと腕に力が入って拓海君の頭がというより、顔が胸に当たる。


これって、奈々ちゃんが言ってた『意識もうろうとしているふりをしてラッキースケベを狙ってるだけ』という状況?


桐子、落ち着いて、落ち着いて!拓海君に限ってそんなことはしない。と思っていたら、頭がぐりぐりと動いて拓海君の鼻に胸の突起が当たる。


「ふぁー、ん。」今まで出したことのない声が出てしまった。


驚いて拓海君を見ると、つらそうな顔をして涙が一筋流れているのが見えた。


『拓海君、苦しそう。もしかしたら最後に看病してもらった時のことを思い出して夢見てるのかもしれない。病気になると気が弱くなるし。』


邪なことを考えた自分が恥ずかしくなる。拓海君の頭を抱きしめてその後、髪をすくようにゆっくりと頭を撫でた。どれくらいの間そうしていたのか分からないけれど、落ち着いたのか、ふっと拓海君の腕の力が抜けて寝返りを打とうとしたのか仰向けになる。それ幸いと急いで体を起こして離れた。


落ち着いていた心臓がまたすごい勢いでどくどくと音を立てている。どうしよう、どうしよう、どうしよう。


行かなくちゃ。とりあえず、部屋を出よう。


拓海君、寝てるんだよね、と確認して、もう一度だけ、とほおに触れてじっと見つめた。また、規則正しい寝息が聞こえる。急いでできるだけ音を立てないように気を付けて二階の自分の部屋へと上がっていった。


その後、当然ながらなかなか眠りにつくことが出来なかった。


次の日の朝、短い睡眠の後、出来るだけ手早く身だしなみを整えて台所へと行った。週末の朝7時。早すぎる。それでも、お母さんはすでに目を覚ましていたようだった。


「おはよう。お母さん、何時に目を覚ましたの?ちゃんと寝た?」


と小声で尋ねると


「うん、15分くらい前かな。結構しっかり眠ったんだけど、やっぱり心配だったから早くに目が覚めちゃったかな。その時覗いてみたらまだ眠ってたみたいだったよ。眠るのが一番の薬だからね。」


「せっかく目が覚めたから、コンビニに行ってゼリーとかプリンとか買ってこようかな。」


と言ったら、


「ありがとう。お母さん、久々にコンビニのプリンアラモード食べたい。あとアイスも。なんかチョコ味のやつがあったら買ってきて。」


「お母さんの食べるもの買いに行くために出掛ける訳じゃないんだけど?」と笑いながら出かけた。3月半ば。寒さが緩んでいるとはいえ、朝が早ければそれなりに寒い。あっという間にぼんやりしていた頭が働き出した。


拓海君に、告白しよう。妹くらいにしか思われていないってわかってもいいから。だめなら、あきらめて先に進む。私も大学生になれば自然に離れるだろうし、合コンとかもあるみたいだし、そういうのに積極的に参加すれば世界が広がるかな。拓海君よりもいい男の人がいるとは思えないけど、見つけるように頑張ればいいんだ。


お店の中を見回して、あ、これ、拓海君が好きなお菓子だ、このアイス大好きだからこれなら食べられるかな、あとエナジードリンクはこの味が好きって言ってたな。長い間家族の延長のようにたくさんの時間を一緒に過ごしてきたのでそういうことは知っている。でも、どんな女の子が好き、とか恋の話とか全然したことがない。私は意図的に避けていたけれど、考えてみるとお父さんもお母さんもそういった話を拓海君に振ることは絶対になかった。私にも。


拓海君と会わない生活が始まるかと思ったら目の奥が痛くなってきた。ちょっと不自然なくらいうつむいて急いでお金を払って外に出た。じわじわと涙があふれてくるのが分かった。朝早くて人通りのない道をかなりゆっくり時間をかけて深呼吸をしながら家に帰った。


うまくいく未来が頭に浮かばない。今まで恋人になったら、という妄想はたびたびしたことがある。手をつないで歩いたり、デートコースでテーマパークに一緒に行って観覧車に乗って、キスをする。お隣に遊びに行って、一緒にテレビを見て、そこから、抱き寄せられて、キスをする。などなど。それが、告白を決めた途端、全く浮かんでこない。


どうしよう。不安に押しつぶされそうになりながら、家に着いた。寒くてよかった。アイス溶けてないよね。たぶん。


「冷凍うどんも一応買ってきた。拓海君うどん大好きでしょ。卵とじうどんとかだったら食欲なくても食べれるかなって。」


「桐子、気が利く!!おかゆより喜ぶかも。起きてから食欲があるようなら食べられるか聞いてみよう。」


渡した袋の中身を確認しながら、


「あ、プリンアラモードあったんだ。良かった。朝から食べてもいいかな、どうしようかな、食べたいな。桐子半分こしようか?」


と嬉しそうに顔をあげたお母さんがちょっとびっくりした顔をして、


「桐子、どうしたの?なんか、、、、泣いた?」


「あー、歩きスマホしてたら、電柱にぶつかった。結構勢いがついてたから肩しっかりぶつけてすごく痛くて恥ずかしかったけど、結構泣いた。周りに誰もいなかったから、それは本当に良かった。」


とごまかした。


「またやったの?だから歩きスマホはやめなさいって言ったでしょ。大丈夫なの?見てあげようか?湿布とか貼る?」


「うん。車とか全然走ってなかったから大丈夫かな、って思ったんだけどね。やっぱり危ないよね。へへ。あとで調べてみる。試験が終わって気が抜けちゃったんだよ。」


おっちょこちょいな私の前科に感謝。疑われなかったみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ