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半幼馴染のくまおくんと桐子ちゃん  作者: しゃろんぱ


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3/13

通学 3

一年半同じ学校に通って、たぶん、ではなく、確実に3度目の一緒の通学になる。1度目と2度目は桐子の高校が始まったばかりのころ。


2日間連続で一緒に学校に行ったと思ったら3日目から鍛錬を始めるから通学が一緒に出来なくなると言われた。少しばかり(いや、かなり)寂しい気もしたが、私が拓海君と通学するのなら、と遠慮していた奈々と美咲がそれ以降私の通学仲間になってくれた。拓海君、初の電車通学になる私に付き合って時間を割いてわざわざ行ってくれていたんだろうな、と今になってみればわかる。


奈々と美咲との通学が定着していたので、朝駅までの道で拓海君を見かけたときにはかなりびっくりした。


「拓海君、おはよう。今日は鍛錬無しなの?ゆっくりだね。一緒になるのって入学式以来だよね。」


嬉しそうに駆け寄った私にちょっと気まずそうな顔をして、


「あー、そうだね。うん。今日はちょっと遅くなった。桐子は(みなと)さんたちと一緒に行くでしょ?」


湊は奈々の苗字だ。


「せっかくだから拓海君とも一緒に行けたらいいな。あ、そう、美咲が言ってたんだけど、拓海君って須藤先輩と勉強友達になったんだって?先週聞いてびっくりした。」


「えっ?」


何で知ってるんだ、という驚いた顔をした拓海君に言い訳のように急いでまくし立てた。


「美咲と須藤先輩は従兄妹なんだ。だから、美咲経由でその話を聞いたんだけどびっくりしちゃった。拓海君から須藤先輩の話一度も聞いたことがなかったから。」


拓海君はちょっと考えるような顔をして、


「須藤と勉強するようになったのは最近のことだったし。そういえば言ってなかったかもね。」


私は笑おうとしたけれど拓海君の表情を見て、自分の笑顔がちょっとひきつってしまったのが分かった。なんだかすっと壁を建てられたかのような気がした。この話はここでお終いにして欲しいんだけど、と暗に言われたような気がした。


今年の夏休みの大半、拓海君は中学の間お世話になっていたおじいさんとおばあさんの家に帰省していた。勉強に集中できるように、というのと会えなくて寂しがっていた二人と一緒に時間を過ごすためだった。さほど遠くに住んでいるわけではないので会おうと思えば会えるけれど、頻繁に会うには少し遠すぎる、という微妙な距離。そのうえ、おじいさんとおばあさんは母方なので、拓海君の家に泊まりでやってくる、という事に遠慮があるため拓海君が向こうに行くのが主になる。7月下旬から8月半ばまで長い海外出張が入っていた拓海君のお父さんの予定を知ったおばあさんが、


「その間だけでもよかったら遊びに来て欲しい。家のことを心配しないで勉強に専念できるようにするから。」


と、申し出てくれたらしい。合間に塾の合宿に参加して、お盆を4人で過ごして、拓海君のお父さんはお隣に戻ってきたけれど、拓海君はそのまま夏休み最後まで残ることにしたため夏休みは遠く離れて過ごすことになった。お隣に引っ越してから拓海君に合わなかった日数の最長記録になったその年の夏休み。


駅に着いていつもの待ち合わせ場所を見ても二人を見つけることが出来なかったけれど、辺りを見回したら急いで改札口に駆け込んでいく二人の後姿を見かけたような気がした。その後、スマホの通知が鳴って、


『先に行く。隣の車両に乗るから。桐子はいつも通りの車両に乗るように。』

『学校で話聞くから!!』


というメッセージの後にタヌキがハートをばらまくスタンプと黒い笑いを浮かべたキツネのスタンプが送られてきた。


ばっと拓海君の顔を見上げると、


「じゃあ、またな。」


と、そのまま改札に向かって歩いていく。

私は二人を待つと思ってるんだ。確かに次の電車でも間に合わないことはない。なんとなく、気まずい雰囲気になってはいるけれど。一緒に学校に行けるこの機会を逃すわけにはいかない、と勇気を振り絞ることにした。


「今日は二人とも先に行っちゃったみたいだから。一緒に行ってもいい?」


拓海君の表情が少し揺れたような気がしたけど、


「わかった。」


了承なのか、どうなのかわからない返事を返されてなんとなくそのまま一緒に駅のホームまで歩いていくことになった。


「いつも、もっと早い時間に乗るからこの路線がここまで混むって忘れてた。」


と隣に立つ拓海君が心配そうに私を見る。心配してくれてる。


「大丈夫、慣れてるし。いつも3人で通ってるから結構気にならないよ。」


ぐるぐると周りを見回す拓海君。友達が乗っているか探しているのかな、と。不自然でなくぴったりくっついてお隣りに立てる絶好のチャンス。と思っていたのだけれど、なぜか微妙に距離感が保たれている。混んでいる電車で出入り口の扉の所で守られるように囲われてドキドキする、などと言う少女漫画のシチュエーションとは程遠く。二人で吊革につかまって揺れている。新学期に入ってからの話、夏休みの話などいつも通りの楽しい会話。


と、思っていたら拓海君の目つきが少し鋭くなる。扉の方を見ている。


「どうしたの?」


と、拓海君の見ている方向に目をやるけれど、人混み、見えない。


「なんでもない。」


とそっけなく言ったかと思うと、また話し始めた。久しぶりに二人での会話を楽しんで駅から学校までも一緒に歩ける、と楽しみにしていたのだけれど、駅前で


「ちょっと用があるからここからは先に行ってて。」


とあっけなく離れることに。


「待ってようか?」


と頑張ってみたけれど


「あー、大丈夫。先に行ってて。」


一人で歩き出す私に陰から見ていたらしい美咲と奈々が追い付いてきた。


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