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半幼馴染のくまおくんと桐子ちゃん  作者: しゃろんぱ


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11/13

拓海の防御 11 *

不必要かとも思ったのですが、一応念のためR15です。

好きだという気持ちを認識した途端、挙動不審になった。自覚がある。今まで自分がどんなふうにしていたかわからなくなった。


自然に、自然に。振舞った。つもりだ。つもりだったが、駄目だったらしい。


桐子にはばれなかったけれど、おじさんにはばれた。おばさんには絶対だ。高校3年の時に、おじさんと約束をした。()()()大学入試が終わるまで待つこと。僕の、ではない。後、一年半。長い。近くにいると手を伸ばしたくなる。


必然的に不自然に避けるようになった。大学入試の勉強を言い訳に岡本家への訪問も減った。あとから聞いたことだけれど、おじさんはおばさんからかなり叱られたらしい。それでも、おじさんは譲らなかったらしい。万が一、桐子が告白してきた場合にはそれを受け入れてもいいという言質は一応取った。桐子の性格上、それはないだろうとおじさんは踏んだのだと思う。その万が一が起こった場合でも節度のある付き合いをすること、というくぎは刺されたけれど。


長い夏休みを終えた後、2学期が始まったある日、桐子と通学が重なった日があった。一緒に電車に乗っていくことになる。どうしよう。電車はもちろん混んでいて、かなりの近距離。周りに変な奴がいないかどうか見回して確認する。大丈夫そうだ。桐子の体がすぐ隣にある。いい匂いがする。距離が取れない。今日もかわいい。電車が揺れて体がぶつかる。偶然のふりをして抱きしめるのってありかな、倒れないように支えた、と言い訳できる、と浮かれていたら、須藤が乗ってきた。イケメンで学校中の女子だけでなく、校外の女子にも有名な奴。ある一定数の男子にも。何を思ったのか近寄ってこようとする。思わず睨んでしまった。須藤はスマホの着信を眺めて、辺りを見回している。その場で立ち止まった。


駅から学校まで、万が一、須藤が寄ってきたら、桐子と知り合う機会を与えてしまう事になる。もしかしたら、イケメンのうえ、結構いいやつな須藤に惹かれてしまう可能性がある。桐子と話したら須藤が桐子を好きになるにきまってる。桐子はかわいいし、性格もいいから。


駅で別れよう。


そのあとからは、直接会う事を減らしたものの、こまめに電話やメッセージなどで連絡を取り合って桐子の近況を探った。僕が無事に第一志望の大学に合格して少しばかり緩んだ空気。おじさんとの約束を守るべく、あと一年。


悪い虫が付かないように、我ながら姑息だと思いながらも、こまめに連絡を取る。試験勉強の手伝いも申し出て、岡本家の居間で(桐子の部屋に言ったら絶対によからぬことを考える自信があったから。)時々家庭教師代わりに教えた。


長い、長い一年ももうすぐ終わりを迎える。桐子の最後の入試の日を迎えるのを秒数を数えるように待ちわびた。おじさんは入試が終わるまで、といったけど、合格発表までとか、卒業までとか言わなかったから。すべての試験を終えたその週末、夕食を食べに行くはずだったのに、あろうことか、風邪をひいた。その日、入試を終えたお祝いに、と二人で遊びに出掛けようと誘って、その先で告白をしよう、と計画していた。


熱を出して、一人で家で眠っていて、ここまで待って、まだお預けを食らうとは、と自分の体調管理の悪さを呪った。夕方、目が覚めて、市販の薬をもう一度飲んで布団に入った少し後、玄関のチャイムが鳴り、スマホにメッセージが入った。岡本のおじさんとおばさんが外で待っている、というものだった。ふらふらしながら出ていったら、あれよ、あれよという間におじさんに半分引きずられるようにして隣の家に連れていかれた。


頻繁に行き来をしてはいたけれど、客間に入るのは初めてだったと思う。布団に横になって、ほっとしていたら、枕元に申し訳なさそうな顔をした桐子が座っていた。「嬉しかった。」と言ったら、にっこりと笑った桐子。好きな人が自分の手の届くところにいる事に、笑っていてくれることに幸せってこういう事なんだな、と少しぼーっとした頭で考えた。生活音のする家の中で少しばかりほっとして眠りについた。


水分をしっかりとったのでトイレが近くなる。目を覚ましてトイレに行ったら、心配そうなおじさんが廊下で待ち構えていた。熱を計った後もう一度薬を飲んで横になる。少ししたらおじさんとおばさんが何か言いながら二階に上がっていくのが聞こえた。おばさんの


『拓海君を信頼している』という声も。僕は信頼されているらしい。ちょっとほっとした、と思ったら扉をたたく音が聞こえて桐子が部屋に入ってきた。


おばさんに信頼されてる、信頼されてる、信頼されてる、言い聞かせる。


桐子が僕に手を伸ばす。


僕は信頼されてる、信頼されてる、信頼されてる。言い聞かせる。


同じ部屋に桐子が座ってる。二人っきりだ。


信頼を裏切るな、信頼を裏切るな、信頼を裏切るな。


手を握るくらいなら、いいよね。冷たくて気持ちいい。うとうととしていたら、つないでいた手が離れていく。びくっとして目を開けたら桐子が僕の上にかがんで近づいてきた。


信頼、が吹っ飛んだ。思わず桐子を抱き寄せてしまった。バランスを崩して僕の横に倒れる桐子。胸に顔をうずめるような体制になった。


『おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!!』


熱のせいだという事にしておこう。感情がかなり変なほうに振りきれて桐子の胸が思いのほか柔らかくてすごくすごく気持ちよくて、ぐりぐりしてしまった。まずい、まずい、信頼、信頼、信頼、と唱えたけれど、それと同時に頭の後ろの方で信頼の文字を火にくべている僕がいた。


このまま、素肌に触って、なめて、しゃぶって、といろいろ妄想したことが実現するかもしれない、このままいけば、と思っている自分に何とか踏みとどまるように語り掛ける。ぐっと強く歯を食いしばったら、その拍子に頬っぺたの内側を思いっきり噛んであまりの痛みに涙が出た。


こわばっていた桐子の体からふっと力が抜けたのを感じて、優しく、頭を撫でてくれる。桐子は女神さまだ。菩薩さまだ。優しい。突然自分がやったことがかなり自分勝手な行為だったと恥ずかしくなる。身動きが取れず、どうしたらいいのか分からないまま桐子を抱きしめた。しばらくして、腕の力を抜いたら、桐子はほっとしたように体を離して部屋から出ていった。


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