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街外れの教会

「師匠、彼女がここの運営をしている人なのか?」


「そうさね。エリナが薬の売買を担当しているから薬を売り込みたいなら彼女と話しな」


「オルばあちゃん、彼女は?」


「わしの弟子みたいなもんさ。今日はこのひよっこ弟子が作った薬もそっちもみてくれ」


「まあ! ありがとうございます。やんちゃな子が多いので傷薬は重宝するんですよ」


「しかし私が作ったものはランクDのものだぞ? 師匠からはギリギリ売り物になると評価されたものだが......」


「オルばあちゃんの評価でそれなら十分ですよ。ばあちゃんが認めた人なら粗悪品を作るなんてありえませんから」


そう嬉しそうに語るシスター。

何気なく弟子入したがこのあたりで有名な人らしい師匠に少し疑問が湧く。


「シスター、師匠は一体......」


「シスター! お話し終わった?」


師匠について聞こうとした矢先、元気な女の子の声が聞こえてきた。

そして廊下の奥からひょっこりと女の子が顔を見せる。


「ああ、ごめんね。少し待っててね。ちょっとオルばあちゃんとお話したいから少し待っててくれる?」


「えー! じゃあこのお姉ちゃんと遊ぶ!!」


「えっ、おい!」


「カッカッカ! そりゃいい。レイちょっと子供らと遊んでやりな。わしはその間エリナと話しをしているから」


そう言って二人は見捨てられ子供に引っ張られるまま開けた場所まで連れて行かれる。

すると引っ張ってきた子どもと同じぐらいの子供たちに囲まれてしまった。


「このお姉ちゃんが遊んでくれるって!」


「ほんとか!? それじゃ鬼ごっこやりたい! 姉ちゃんが鬼な!!」


「男子が有利じゃん。わたしかくれんぼしたいの」


鬼ごっこ派の男子組とかくれんぼ派の女子組に分かれて対立してしまった。

どう諌めれば良いかわからずとりあえずといった感じで別の遊びを提案する。


「ええっと.....両方はだめか?」


首をかしげる子どもたちに『隠れ鬼』の遊び方を説明する。

両陣営とも面白そうということで隠れ鬼をすることになった。

だが、小柄な子供たちは突拍子もないところに隠れるので見つけるのに苦労するし、逃げるにしても細い通路を使うので追いつくのに苦労した。

そうしてへばっているとひょこりと師匠が顔を見せた。


「おや、ヘロヘロだねえ。薬を売るのはあとにするかい?」


「いや......今日やる......後回しにすると確実に忘れるしな......」


「そうかい。エリナはここの廊下の先の広間にいるから早めに行くんだよ。あの子も暇じゃないからね。先に店に戻るから薬売り終わったら又手伝ってもらうよ」


そう言ってその場をあとにする師匠。

やっと息が整ったので立ち上がり師匠が示した場所へ向かう。

扉を開けるとエリナシスターが見覚えのあるバスケットを持っていた。


「お弟子さん子供たちの相手ありがとうございます。やんちゃざかりで大変だったでしょう?」


「やんちゃすぎるだろ......あの手この手で隠れて、逃げてで大変だったぞ」


「ふふふ、いつもならもう一人がそういったやんちゃな子たちを相手にしてるけどちょっと今は出かけているから」


そう朗らかに笑うシスター。

やっと息が整ったのでインベントリに入れておいた治癒軟膏を取り出す。


「師匠のあとじゃ見劣りするが、治癒軟膏10個の買取をお願いしたい」


「ここで良いのですか? オルばあちゃんのお弟子さんならここより良い値段で買い取ってくれますよ?」


「師匠のもとで修行するからそこまで金銭に困らないんだよな。それよりここの世界の人たちとつながりをもちたい」


「そうですか。それなら治癒軟膏1つ300Gで買い取らせていただきます。」


「分かった。それで頼む」


そして手早く数えた硬貨を出してきた。

それに触れると一瞬で消えてステータスの所持金に3000G追加される。


「旅人様は空間倉庫を持っているとのことでしたが、こういう風に収納されるんですね」


「私も驚いている。通りの市場で買い物した時硬貨をどう出せばいいかわからずちょっと慌てたからな」


商談が終わり軽い雑談をしていると部屋の扉が開き金髪の男性が入ってくる。

エリナシスターより少し年上の印象がある剣士だった。


「ん? エリナの客か?」


「ええ、新しい薬売りよ。オルばあちゃんのところで修行している子よ」


「エリナシスター、彼は?」


「カイルですよ、オルばあちゃんのお弟子さん。子供たちの相手を主に担当してくれる冒険者兼この教会のお手伝いさんです。遊び盛りの子供たちの相手は私一人ではできないので彼に手伝ってもらっているんです」


「弟子ってことは錬金術やってんのか。となると今後ここにも薬を卸すのか?」


「その予定だ。まあ師匠からギリギリ合格点をもらえたものだけどな。改めて、旅人のレイだ。今後とも宜しく頼む」


そう言うとやや眉をしかめるカイル。

一瞬失礼なことをしてしまったのかと思ったが違った。


「ああ済まない。アンタがアイツらと同じ旅人ってことで身構えちまった。オルばあさんの弟子なら問題ないのにな」


「もしかして何かあったのか?」


「まあな。俺はこの町の外の比較的安全なところで狩りをしているんだが、ここ最近で旅人が大勢訪れだした影響で狩場の獲物が根こそぎ取られているんだ」


そう不機嫌そうに語るカイル。

サービス開始初日だから少しでも周りよりリードしたいという人が多いからフィールドが混雑しているらしい。


「そのせいでいつもより取れた肉が少ない。エリナ、このあとも出かけるが遠出するから遅くなる。先にこれで食べておいてくれ」


「無茶しないでね。旅人様と違って『黄泉がえり』はしないんだから」


「わかってる……そうだ旅人さん。ちょっと頼みがあるがいいか?」


「なんとなく察するが、何だ?」


「魔物の肉をここに卸してほしい。このあたりにいる魔物から食用の肉が取れるが俺一人では到底孤児院にいる子どもたちすべてを賄える量がとれないんだ。もちろんそれ相応の報酬は出すよ」


「私はこれを卸したら予定はもうないが、一応師匠の許可もらってからにするぞ」


「頼んだ。旅人は確かこの世界に訪れるのは不定期なんだろ? 卸すのはいつでも良いからな。それじゃエリナ、また出かけるから子供たちをよろしくな」


「いってらっしゃい。カイル、レイさん」

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