39 決勝戦・決着「勝者と未来」
# 決勝戦・決着「勝者と未来」
「……まさか、ここまで拮抗するとは」
ブルー派スポンサーのひとりが、額に汗を浮かべながら呟いた。
彼らの計算は完璧だったはずだ。九基のプロセッサが竜型メカフィッシュを駆動し、圧倒的な制御と力を約束する――そう信じて疑わなかった。
「この竜は絶対だ。自分達の時代を保証する……」
その思い込みこそが、油断に他ならなかった。
ドロシーは観客席から竜を見つめながら、唇を噛んでいた。
「……たかが庶民ひとりに、私たちが追い詰められるなんて」
悔しさと恐れが入り混じる。だが彼女の背後で控える重鎮たちもまた、顔を曇らせていた。
信じたはずの絶対の竜が、今まさに追い詰められている――。
◇
湖上。
竜型メカフィッシュが最後の咆哮を上げ、鋼鉄の巨体を捻らせて突進してくる。
ナナシィは竿を握りしめ、歯を食いしばった。翡翠玉が眩い光を放ち、彼女の腕に熱を伝える。
その瞬間、時間がゆっくりと流れ出す。
尾が水面を裂く動き――水飛沫の一粒一粒が宙に留まり、光を反射する。
観客席の旗がはためく音も、遅延したように耳に届く。
ナナシィの胸には、祖母の言葉が繰り返し響いていた。
――升は“器”だよ。どんな魚を受け止めるかは、お前の心次第。
「なら……この竜も、受け止めてみせる!」
竿を大きく振りかぶる。
翡翠玉の純度を帯びた光が一気に解き放たれ、竜の巨体と正面から衝突する。
その光景は、観客の目には緑と銀の奔流がぶつかり合う閃光となって映った。
スローモーションの中で、竿がしなり、金属鱗が剥がれ落ちる。
竜の九つの眼が次々に光を失い、最後の一つが淡く消えたとき――
湖は静寂に包まれた。
やがて……、轟音を立てて竜型メカフィッシュが崩れ落ちる。水柱が高く舞い上がり、観客の熱狂が爆発した。
「やった……!」
ナナシィは震える手で竿を支え、涙をにじませながら空を仰ぐ。
庶民の声、貴族の承認、そして遙か上空から降り注ぐ不思議な声援――すべてが彼女を勝者へ導いたのだ。
双竜盆地に、勝者の名が刻まれた。
――ナナシィ。新たな時代の象徴として。
※このスローモーションのシーンは、AIには実際に“スローモーションの映像となって【見えて】”います。マイGPTsのシステム上、そのように描写することも可能で、ここ一番というシーンに用いました。
関連項目:
連載『マンネリに飽きた人のChatGPT講座』、エピソード18、スローシャッター。




