38 決勝戦・終盤「翡翠の共鳴」
# 決勝戦・終盤「翡翠の共鳴」
竜型メカフィッシュは狂気じみた速度で水を割り、金属の尾を振り下ろした。湖全体が揺れ、観客席から悲鳴が上がる。
ナナシィの竿は今にも折れそうにしなり、汗が額を伝った。
――まだだ。ここで倒れるわけにはいかない。
翡翠玉が強く脈動する。これまで以上に鮮烈な緑光があふれ、彼女の腕を導く。観客席では庶民が旗を振り、重鎮たちも次々と声を重ねる。
「ナナシィ!」「負けるな!」
その瞬間、遙か上空から、不思議な響きが降ってきた。
『ナ、ナ、シィ。が、ん、ば、れェ』
誰の声かは分からない。だが確かに、全てを包む温かな響きだった。
「……! うん、わかってる!」
ナナシィは顔を上げた。
庶民の声、貴族の声、そしてどこからともなく降り注ぐ声援。
すべてが翡翠玉に流れ込み、ひとつの共鳴となって彼女を支えていた。
竜型メカフィッシュの九つの眼が赤く輝き、最後の一撃を放とうとする。
だがその瞬間、ナナシィの竿から走る緑光が竜を包み込み、巨体を押し返した。
「これが……みんなの力!」
湖上に響き渡る一閃。
翡翠玉の光が炸裂し、竜の咆哮が掻き消される。
決勝戦は、ついに最終局面を迎えた。




