37 決勝戦・中盤「技術と信念の激突」
# 決勝戦・中盤「技術と信念の激突」
「九台すべてが稼働している。制御も安定している……負けるはずがない」
ブルー派の控室では、幹部たちが確信めいた笑みを浮かべていた。観客席の庶民の声など、彼らにとってはただの雑音にすぎない。
――我らの技術が、この時代を支配する。
その過信が、彼らの胸を満たしていた。
一方、湖上では竜型メカフィッシュが尾を振り下ろし、轟音と共に巨大な波を巻き起こす。
観客席にまで飛沫が飛び、結界を張る魔術師が次々と対応に追われる。
ナナシィは竿を必死に握りしめた。腕は痺れ、竿が軋む音が耳に痛い。
「くっ……!」
庶民の応援がどれだけ届いても、現実に迫る竜の圧力は絶望的だった。
ブルー派の来賓席で、ドロシーが静かに命じる。
「出力を三割増しに。プロセッサ、全台連携を強化なさい」
制御盤が光を放ち、竜の動きがさらに加速する。
観客席の一部からは「もう持たないぞ!」という声が漏れた。
だがその瞬間、ナナシィの胸元で翡翠玉が強く輝く。
右手に導く暗示が鋭さを増し、視界の隅で緑の旗が大きくはためいた。
――まだ、終わらせない。
祖母の言葉が胸に蘇る。
ナナシィは竿をしならせ、反撃の一撃を放つ。
その様子を目にした重鎮の一人が、思わず立ち上がった。
「ナナシィ、負けるな!」
その叫びは、庶民の大合唱に重なり、湖畔に響き渡った。




