33 蒼の密約
# 裏エピソード ― 蒼の密約
ブルー派の私邸、誰も足を踏み入れぬ離れ屋。
蝋燭の揺らぎに浮かぶのは、病床に伏すはずのドロシー嬢だった。
目の前の机には、異様な光を放つ水晶端末。
そこから聞こえる低い声に、彼女は静かに耳を傾ける。
「……9台でなければ意味はない。
5台は安定するが、ただの模倣だ。
9台を積み、限界を超えてこそ“竜”は目覚める」
声の主は、雪辱者バレンダイン。
敗北に狂い、研究所を追われた男。
だが、彼の知識と執念を切望する者がいた。
「あなたの言う“竜”……必ず証明してみせますわ」
ドロシーはほほ笑む。その微笑みは冷ややかにして甘美。
彼女の家は資金を流し、研究を存続させてきた。
公には病に伏せる令嬢。だが裏では、亡霊のような技師と密約を交わし続けていたのだ。
「私の名は表に出さぬこと」
「ご安心を。栄光も汚名も、私が背負いましょう」
端末越しの沈黙。やがて低い笑い声が漏れる。
「フッ……ならば、我が“竜”を託そう。
決勝戦の舞台にて――敗北者の怨念が牙を剥く」
蝋燭の火が揺れ、ドロシーの瞳に蒼白の輝きが宿る。
――それは、ただの病弱な令嬢の顔ではなかった。
陰謀を編む者の、凶烈なる決意の色だった。
キャラクター名が被っておりましたので、
バランタイン→バレンダイン
に投稿前変更いたしました(;^_^A




