32 ブルー派の動揺
お知らせ:
こちらの手違いで当エピソードと前のエピソードの時系列が逆になっておりました。
お詫びを申し上げますm(_ _)m
# ブルー派の動揺
ブルー派の集会場――青瑠璃館。
深い青の幕に囲まれた広間では、重鎮たちが声を荒げていた。
「どういうことだ! 庶民どもが緑の旗を振っているではないか!」
「まるで翡翠玉を象徴に仕立て上げている……」
報告を受けた瞬間、場は騒然となった。
誰もが知っていた。旗や横断幕はただの色ではない。群衆の意思が具現化したものだ。
それは時に兵よりも強い力となり、戦局を左右する。
「決勝戦で勝つのは我らブルー派に決まってるはずだ……!」
老練の領主が拳を叩きつけた。
だが声の奥には、焦燥と恐れが滲んでいた。
「グレゴールですら敗れた。次は誰を立てる? 竜型メカフィッシュを投入する案は……」
「しかし、それは……あまりに露骨すぎる」
「ならば観客を操作せねばならぬ。噂を流し、緑の旗の意味を“矮小化”するのだ」
沈黙を保っていた一人の若き貴族が、静かに告げた。
「……もはや決勝は単なる試合ではありません。
これは世論との戦いです。旗を振る者が一万人なら、我らは十万の噂で覆い隠すしかない」
青い幕の下で交わされる言葉は、必死さを隠せない。
その影で――翡翠の“緑”は、すでに大陸を染め始めていた。




