21-2 マーケットの反応 ~ 後編
執筆クマちゃん「ぽてぽて~。初めましての人も、お馴染みの人も、お耳が真っ赤のクマちゃんだよ。物語も後半になって来て、盛り上がってるけど……引き続き市場の声を拾ってみようか?」
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大手チェーン店にて。
一方、大通りの大手釣具チェーンでは、青色の垂れ幕が揺れていた。
「セイラス様の剣釣り再現セット! 本日限り!」
だがその売り場の前に立つ客は少なく、通り過ぎる人々は首を振った。
「強かったけど……結局負けたんだろ?」
「裏切り者って言われる人の名前、今さら掲げてもねぇ」
店員は必死に声を張り上げたが、その声はむなしく空へ散っていった。
庶民の声は?
魚市場の片隅では、屋台の主人が皿を振るいながら叫んでいた。
「ナナシィ嬢の勝利に乾杯だ! 今日は鯉の煮込みが半額だぞ!」
買い物客たちは笑いながら食を囲み、話題は自然と試合へと移っていく。
「やっぱりレッド派の娘はすげぇな!」
「いや、もう派閥とか関係ないだろ。あれは本当に一人の戦士だよ」
賑わいの中、ナナシィの名前は祝祭の歌のように繰り返されていた。
## ティナの独白
夜になり、店の灯りを落としたティナは帳面を閉じた。
「……やっぱり、あの子はただの選手じゃない」
手元の小さな水晶に視線を落とし、呟く。
「明日は、どんな声を伝えればいいのかしらね」
ティナの言葉と呼応するかのように、一瞬だけ水晶が翡翠の色を帯びた。
窓の外には、まだ試合の余韻に沸く市場のざわめきが響いていた。




