17-1 市場の影響 ~ 前編
# 市場の影響
試合の興奮が冷めやらぬまま、湖畔の市場は人々のざわめきで溢れていた。
釣具店の並ぶ通りには、観客や旅人が群れをなし、あちこちで「ナナシィ嬢が勝ったぞ」「オルフェン様が負けるとは」と言葉を交わしている。
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## 大手釣具チェーン店
青と銀の看板を掲げた大手チェーン店〈オルフェン機巧舎直営〉の店先には、ずらりと並んだ最新式の竿とリールが光を反射していた。
「……すごい性能なんだけどな」
店員が陳列棚を拭きながら、隣の同僚に小声で漏らす。
「バルド様が負けたって話が広まってから、急に客足が減ってる」
「仕方ないさ。実戦で象徴的に負けたら、庶民は“縁起が悪い”って感じるものだ」
それでも数人の客は足を止め、ガラス越しに竿を見つめる。
「やっぱり機械竿はすごいよな。でも……ナナシィ嬢の竿の方が気になる」
その一言に、店員は歯を食いしばった。
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## 中規模店舗
通りの角にある中規模の商人ギルド系店舗。赤と青の幕が混ざり合うように飾られ、どちらの派閥の商品も扱っていた。
ここには人がひっきりなしに訪れ、店員を質問攻めにしていた。
「ナナシィが使った仕掛けは置いてますか?」
「翡翠玉と同じものは?」
「彼女が使った竿の廉価版はどれ?」
店員は苦笑しながら応じる。
「申し訳ありません、翡翠玉は極めて希少な品でして……。ただ似た構造の仕掛けはこちらに」
客たちは熱心に耳を傾けるが、すぐに次の問いが飛んでくる。
「じゃあ、どうしてオルフェン様の新竿は負けたんだ?」
店員は言葉に詰まり、視線を泳がせた。
結局「……それは選手の実力差、でしょうか」と濁すしかなかった。




