球体
防衛都市ガスール。
見た者は口を揃えて「星が落ちてきた」と言った。
そして、ガスールがあった場所は巨大なクレーターとなっている。
星を落とす魔法は、古代において失われ、現在は解明できない代物である。
命は全て失われた。
それが――七神の力である。
次元を貫き、空間を射止めた球体。
その表面は亀裂が入り、無理やりに破壊を押し留めている状態であった。
――スキル「――」
三ヶ月後、クレーターの地質調査に派遣された冒険者一行が、その球体を拾い上げた。
鏡面空間へと閉じている封印で、術者でなければこの封印を解く事は叶わない。
あるいは同等の魔法を備えていなければならないが、アルバートの用いた魔法は古代魔法に該当し、詠唱などを含む現代魔法ではない。
即ち、この封印を解き放つ事は、不可能である。
冒険者一行は、その球体が何の役にも立たないと知り、骨董商の元へ訪ねこれを売りつけた。
その骨董品は装飾品としても亀裂が入っており価値にならない。
そのため様々な場所を転々とし、安値で取引されては乱雑な扱いを受けた。
しかしそれでも、傷が広がる事は一度もなかった。
やがて球体は大陸を越え、北方大陸へと至る。
北方大陸は人間が多く生息する人間至上主義の国家が多く、また魔法に関しても南部の大陸に比べ発展を遂げていた。
魔道具として目をつけた商人だが、魔法的価値は無いに等しく、やはり安物として取引されて、ついにはゴミとして在庫処分となる。
「お嬢さん、こんなものが欲しいのかい?ただのゴミだよ。壊れかけてるし」
薄汚れた商人は、その売れ行きのせいか機嫌が悪く、無価値同然の物を買うと言われても嫌な顔を消さなかった。
「買いますよ勿論。やはり、骨董めぐりはこれだからやめられないです」
「ったく、物好きな嬢ちゃんだな」
一年後、それが古代魔法に由来すると見抜いた、慧眼な女がいた。
一説によれば、彼女は魔法学校で教師をしているらしい……




