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幻想奇譚

色硝子の保持

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

戦利品見て『ひひひひ……』と変な声出して喜びました。

最近集め始めた栞達を眺めております。縁は鮮やかな金や桃色。そんな金属の縁に押し込められた、透明なパステルの世界。光に翳す事に輝きと透明感を与え、全く違う印象を与えて下さいます。其れは教会で拝見させて戴いたステンドグラスを見ている様なのです。小さく、精巧で、私だけの美術館にも思えてしまいます。

けれどもふと思い出すのは、高校時代にご友人から戴いた、タツノオトシゴの栞。大切に扱っておりましても、長年、本の間の出し入れを繰り返しているうちに、少しづつ、摩擦によって傷が着いてしまいました。『使い込んだ証』とご友人は仰って下さいましたが、申し訳なく。

例えアルバムの中であっても、傷が付かないとは残念ながら。……何かこれ以上、傷を負わせない方法は……と考えたあと、ある事を思い付きました。

やわらかな名刺スリーブに入れて、保存すればきっと今以上に傷つく事は無いでしょうと。使い続ける事が出来ますでしょうと。


渡からステンドグラス風の栞を貰った。二種類あるうちの一つ。『欲しいなら二つとも』と言っていたが、そのうちの一つ。何方も私達と縁とゆかりが強い場所の栞だった。

彼女らしいと思う。あらゆる場所を渡り歩き、物よりも経験や記憶に重きを置く。其れが渡なのだから。恐らく『あの場所が無くなっても、思い出は無くなりませんよ』と無意識ながらも思っている事だろう。

此処で一つ疑問が浮かぶ。多少傷付けてでも使った方が良いのか、それとも傷一つ付かせない様に飾っておくべきか。何方を選んでもきっと文句一つ言わないだろう。

……この際もう一つ自前で買って、渡のは観賞用に、自分のは実用にするか?

そんな事を考えて、飾るなら台座が必要だろうと判断した。またどうせ明日も遊ぶしな。その時に栞をも一つ買って、台座探し手伝って貰おう。


待ち合わせの場所に訪れると、渡が文庫本を読んでいた。どうやら渡はまた読書を再開したようで、私が来るまでに何か読んでいた。その時、指に挟まった栞。私が高校時代に渡した栞。其れに目がいった。

「それ……」

「あぁ、これでしょうか? 流石にこれ以上傷付けるのが大変申し訳なく、名刺ケースに入れて使う事にしたのですよ」

栞を守るはソフト名刺ケース。透明故に美しさを阻害すること無く、渡の指の間で輝いていた。

「参考にするわ。あと昨日貰ったやつ、机に飾る事にしたから。本に挟むのはまた自分で買うよ」

「それはそれは。とても嬉しく思います。小さな美術館が出来ますね」

爛々と瞳が輝き出す。渡らしい一言を貰って歩き出す。私も小さな世界を作るとしよう。

傷つかないと思ってもめっちゃ傷つく。其れが物。

守りたいたらスリーブ必須。と実感しました。


戦利品があまりにも綺麗で、変な声出して喜んでます。

集めたくなる気が凄く分かる。


書きながら思ったのが、行動がお互いに重い。

表面上はそうでもなくても、互いが互いの矢印がめっちゃ大きい。

多分、渡の友人が思ってる事は正解。

無意識でも『忘れないで』と思っている。

貰った思い出が傷つくのが嫌だから飾る。

これを傷付ける事は、あの場所を傷付ける。

そういう思想も、人によっては重そう。


今に始まったことでは無いですがね。

お気に入りの場所が更地になっただけで絶望するのが渡ですから。

百年でも、千年でもその場所がありますように。変化が嫌い。それが渡ですから。

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