表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

Part2:能力

私たちが夢の中の記憶に興味を持ち始めてから数日が過ぎたある夜のこと。私は塾の帰り道で奇妙な体験をした。


その日は満月が美しく輝く夜だった。私は帰り道を歩いていると、突然体が軽くなるような感覚に襲われた。足元を見ると、影がいつもよりも薄く、体から微かに光が漏れているのを感じた。驚いて足を止めると、その光はどんどん強くなり、ふわふわとした球体の形になっていった。

「何…これ…?」

そう、この球体も、夢に出てきていたのだ。


呆然と見つめる私の前に、その光の球体が浮かび上がっていた。まるで私の意思に従うかのように、手を伸ばすとその球体は近づいてきて、手のひらに乗った。暖かく、柔らかい光だった。まるでハムスターを手に乗せたような感覚だった。いつまでも見続けられるような、自分の一部のような、そんな気がした。


翌日の夜、黒羽にその出来事を話した。夢に出てきた「光の球」が体から出てきていた、と。黒羽は最初は信じられない様子だったが、庭に出てみると、今度は彼の手の周りも光り始めた。

「これ、どういうことだ?」

黒羽は驚いて、振り払おうと手を震わせた。すると、光は彼の体にまとわりついた。まるで光の鎧を身に纏ったかのように、彼は輝いて見えた。


翌日の夜、十六夜の日。リンにオンラインでそのことを話してみた。リンは塾帰り、公園のベンチに座っていた。

「僕も試してみるよ。」

リンが立ち上がって月に向かって手を伸ばすと、月光は刀の形に変わった。リンは180cmくらいあったはずだから、150cmくらい、かなりの長刀だ。リンがそれを振るうと、リンの周りの雑草を見事に切り裂いた。

「凄っ…!ライトセーバーみたいじゃん。」

「それで物が持てたりしたら結構…」

「えいっ!」

リンが右手で空き缶を掴むような動作をすると、刀の先端が呼応するかのように2つに分裂し、空き缶を切ることなく拾い上げた。

「おぉ…!」

「本当にやるとは…!」

「ん!自分でも"よくできた"と思ってるよ!空き缶が真っ二つになるかと思ったもん!」


大道芸のようなものだと思っていたこの能力が、結構役に立つことが分かってきた。例えば、私の光の球は寝る寸前にスマホを見るときの小さな照明として使えた。黒羽の光の鎧は、何かを運ぶ時に力を増強してくれるし、リンの光の刀は遠くの物を取りたい時にマジックハンドのように変形させて使えた。


しかし、半月ほど経つと、私たちの力は次第に使えなくなっていった。力が弱まり、やがて3人とも全く使えなくなってしまったのだ。


「これってどういうことだろう…?」

私は不安そうに言った。

「もしかして、月の満ち欠けに関係しているんやない?」

「あぁ、輝面率(きめんりつ)とか?確かに半月くらいの時に減りが速い感じだったからな。」

「キメンリツって何?」

「ざっくり言うと、月の光っている部分の割合のことね。満月が100%、半月が50%、新月が0%。黒羽の言う通り、月は球体だから半月らへんで一気に変わるんよ。」

「なるほど。初めて理解できた気がする。」

「え、今まで一個も理解せんかったの?…まあ良いや、その話は日本海まで投げ飛ばしといて、今日が新月なんやな。」

「じゃあ…半月後には元に戻るかな?」

「そうだと良いな。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ