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Part4:オトモダチ

前回の3500字に続きまして、今話も5000字弱と長めです。


こんなに長いのも、多分「夏休み」の今話まで…かなぁ。

***リン視点***


今日は休みの日。3人とも、普段は休みの日を作業に費やすのだけれど、「たまには気分転換を」って言うから今日の作業は全て無し。午前中に勉強を済まして、昼飯から外に出かけた。…モーニングを昼に食うのはナンセンスかもしれないと思いつつ。


ーーというか絶対あいつら付き合ってるだろ…。「休みの日に2人きりでお出かけって、デートじゃんそれ…!」な〜んて言っても、2人とも否定してくるんだけどねぇ…。もしかしなくても、ツンデレ同士なのかな?


…まぁ良いや。今日は1人でのお出かけなのだから。もちろん、彼女こそいないが友達を連れてくることもできた。けど、科学館は1人に限る!僕は展示を細かいところまで見る派だからね。年パスと共に何百回と来ても飽きるに足らない。


名古屋の誇る、世界最大級のプラネタリウムを持つ科学館を後にしたのは、夕方のことだった。夕食はコンビニで良いや。そのまま(名古屋の代表的繁華街)まで散歩しよっかな。




栄の中心部、久屋大通の真ん中は都市公園になっている。ここを夜に散歩するのは実に気持ち良い。暑いけど。何時(いつ)しか科学館の帰りにここに寄ってから帰るのが習慣になっていた。あいつらにもいつか…。


誰かが肩にぶつかった。


ーーしまった、考え事に夢中になりすぎた!


と思う間も無く、足が宙に浮いた。幼少期よりバランス感覚が壊滅的で、普段から、ちょっとした衝撃ですら危機的状況なのだ。ここまで強いものだと、「ぶつかるよ〜」って言われければ十中八九転んでしまうのだ。


だが、転んでいたのは僕だけじゃなかった。先に声を掛けてきたのは向こうだった。

「いてて…。はっ…!大丈夫ですか!?」

「あっ僕なら大丈夫です…。昔から体幹がなってなくて…。ほんっとごめんなさい!僕の不注意で…。」

「こちらこそごめんなさい!って、血が出てるじゃないですか!」

「あっ…お気になさらず…。これくらい放っとけば治りますから。」

「いやっ…何かお詫びを…!そうだ、お姉さん夕食まだなら奢らせてください!」


ーーん?いま"お姉さん"って言った?


「えっと…。まず夕食は済ませたので不要です。あと、僕…男ですよ?ナンパのつもりでしたら、ごめんなさい。」

「あっいや…そうじゃなくて…。あのっ…ボク、女ですよ?」

「えっ…?」




数分後。なんやかんやで、ポルックスと名乗るこの少年…いや少女と一緒に散歩することになった。歩き出して真っ先に誕生日を聞かれたのは困惑した。まさか同い年だったとは…。

「いやぁ〜お互い大変ですねぇ。昔っからショートだもんで、ボクもよく男性と間違えられるんですよ。リン兄さんは『日アニ現象』で長髪に?」

「あの…兄さんて…。」


ーーあと、一瞬だけど方言出てる…けど、こっちは黙っておこう。自分もいつ方言を出すか分からないから。


「い〜や、ボクより25日くらい年上なんですから。ボクは少しでも年上な男性は"兄さん"って呼ぶ主義なんで…すよ。」

「いま無理やり敬語を使おうとしました?不自然になるくらいならタメで良いですよ。同学年ですし。」

「分かったけど、リン兄さんもタメにしてね?…で、どうなの?」

「…。まぁ確かに、あの日に急にこの長さになったのは事実だなぁ…。でも実を言うとその前からちょっと長かったから、たまに女子と間違えられたりしたこともあって。」

「お互い大変やねぇ…。まったく、ボクは至って女子なのに。胸が無いのは認めるけど!」

「ほなこと言ったら、僕だって根っからの男子やに?」


しまったか。ポルックスさんが黙りこくってしまった。今の言葉、女性扱いされたのを根に持ってますよ〜って言わんばかりじゃないか。というか方言を指摘しなくて良かった…。


「あっ!そうだ!これも何かの縁やし、メール交換でも…。」


ーーあっ…そういうことだったの。


「そうですね。ご縁は大事にって言いますし。」

「リン兄さん、敬語。」

「あっごめん、癖で。」




***(一瞬だけ)るな視点***


るなの家にて。黒いシルエットの一つが、鮮明な写真へと変わっていた。

「あれ…?この人は誰…?」




***ポルックス視点***


次の朝。ポルックスの電話が鳴った。

『ポルックス。いや、カストルか…?』

「ううん。ポルックスで良いよ。」

『良かった。その方が話しやすい。至急集合せよ、とのことだ。新幹線なら電子で予約しておいたから、昼過ぎの便に乗れるように準備してくれ。』

「りょ〜かいです!」

『…ありがとう。』

「ちなみに…内容は?」

『まず、東京で確認された例の標的(ターゲット)を追っていたら、新たに1名、標的(ターゲット)となる人物を発見した。まぁこれは君には関係ない。問題は次だ。諜報の結果、君のいる名古屋にももう1名いると分かった。確実に君も参加することになるだろうから、それについて詳しく…』

「まぁ良いや。面白そうじゃん。10時の便で向かうから、予約変更しといてね。…シリウス兄さん♪」

『だから実兄じゃ…』


プチッーー。

「ふふっ…誰かさんと同じことを言ってる〜♪」



(東京へ移動)



東京郊外にある、見た目はただの『ちょっとした豪邸』の建物が見えた。名古屋からはるばるきたけど、もう少しで到着だ。


と、不意に後ろから声が聞こえた。

「あっポルックスお姉ちゃんだ〜!」


とっとっとっ…と駆けてくるクリーム毛のツインテ幼女(ロリ)の後ろに、その兄が息を切らせながら走っているのが見えた。

「ダメだよミモザちゃん。アクくんを置いて走ってきちゃ。」

「ま〜い〜の!」

「アクルックスくんお久しぶり!…にしても5つも下の妹に追いつけないなんて、相当弱ってるのかな?

「いや、2人分の荷物を背負わされてるんですよ⁉︎無理くないですか?」

「まぁこんなに可愛い妹ちゃんのためじゃないか。それくらいは我慢したまえ。」

「だからこうやって背負っているんじゃないですか…。」



アクルックスくんは玄関で荷物を下ろすというので、ボクはミモザちゃんを引き連れてリビングに入った。

「あっカストルさんに…ミモザちゃんかな?やっと揃ってきたみたいね。」

「アクルックスさんは相変わらず荷物持ちってところか。」

「えっと…?この人たちは誰?」

「あぁ、ミモザちゃんは2人と会うの初めてだっけ。えっと、右がリギルお兄さん、左がハダルお姉さんね。」

「よろしく。序列は俺が3位でこいつも11位だけど気にしなくて良いからな。」

「よろしくね。」

「うん…よろしく…」


ーーどうやらこの子は、人見知りが激しいようだ。よし、放置してあげよう!(※悪魔ちゃん的思考)




その時、キャァァァァァァァァ⁉︎という叫び声とパァァァァァァァンという音が辺り一帯に響き渡った。


何だ何だと廊下に出ると、トイレの前でプロキオンが倒れていた。いつもの不運かと合点をして部屋に戻ろうとしたけどと、ちょうど反対からベテルギウスとリゲル姉弟がやってきた。こうなるとちょっと面白いから、壁に寄りかかって影から見届けることにした。暇だし。

「おいおい!どうしたんだいプロキオン!」

「うるさい」

「あ…ベテルギウス兄…」

「あ〜頬が赤くなってるじゃないか!叩かれたんだな!?」

「うるさい」

「あ…そうなんですけど…」

「誰に叩かれたんだい?」

「うるさい」

「いや…そうじゃなくて…トイレに行こうとしたら、中にスピカ姉がいて…」

「そうかそうか!…うん!いつもの不運だな!」

「うるさい、てか諦めるの早っ」

「…私はお(いとま)しますね。鍵をかけ忘れた私も非がありますし…。」

「スピカもいつの間に後ろに…まぁ良っか。ほら、ベテルギウス。買い出しに行くんじゃないの?」

「ああ!そうだったな!忘れてた!あっそうだ!リゲル姉貴!この子も連れて行って良いか?」

「うるさい、てか可哀想だからやめてあげて?プロキオンの不運ぶりも知ってるでしょ?さっきも外出た瞬間に鳩にフン落とされたんだから」

「そうか!分かった!じゃあ行くぞ!久しぶりの姉貴とのお出かけか!楽しみだな!」

「……うるさい、てか久しぶりじゃないでしょ。ほら、さっさと行くよ」



一件落着?ということでリビングに戻ろうとすると、隣の小部屋から罵声が聞こえてきた。

「………なのよ!」

「だって……が…で……」

「コンコン。失礼しま〜す。」


キィィ…と音を立ててドアを開けた。

「あ、ポルックスさん!お久しぶりです。」

「コンコンって口で言う物じゃなくて手で戸を叩いて鳴らすものってご存知かしら?」

「レグルス兄さんもアンタレス姉さんもお久しぶり。2人とも相変わらずだね。というかレグルス兄さんの方が年上なのにねぇ…。まぁ良いや、じゃあお邪魔しましたぁ〜!」


アンタレスの罵倒に介入すると面倒ごとしか起きないので、そっとドアを閉めておいた。



ーーん?背後に人の気配が…。


「「ポルックスお姉さん。」」

「うひゃぁっ!?カペラちゃん!いつの間に…?

「気づけなかったのが悪いです。」

「この際言っておきますけど、」

「「私達、スピカお姉さんみたいに影薄くないですからね?」」

「う…うん…」


さっきレグルス兄さんに言ったことを撤回します。やっぱり、年下って怖い。いくら私が早生まれだと言っても(※ポルックスは2010年1月7日生まれ)一歳年下なはずなのに(※カペラは2010年12月8日生まれ)…。


「そ…それじゃ…会議に行こっか。」

「「はい。」」



会議が始まるとすぐに、我らが序列1位、シリウスが説明を始めた。

「久しぶりの会合だが、今回は基本的にこちらからの報告という形になる。皆の者、これまで全国に散らばっていたが、今後は東京と名古屋、この2か所に集約される。」



壁に張り紙が貼られていた。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・札幌:シリウス、リゲル、ベテルギウス

・仙台:リギル、ハダル、アークトゥルス

・東京:アルタイル、アルデバラン、スピカ

・新潟:カペラ姉妹

・名古屋:ポルックス、アクルックス、ミモザ

・大阪:フォーマルハウト、デネブ

・広島:レグルス、プロキオン

・福岡:ベガ、アンタレス

・那覇:カノープス、アケルナル

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」



「どう言うことかと言うと、鷲の探査によって、標的(ターゲット)が3人とも見つかった。2人は東京、1人は名古屋で発見された。今後は総出で予防していく。この計画自体に質問がある者は手を。」


アルデバランが手を挙げた。

「私が接触した意味はあったのか?」

「無意味じゃなかったのは確かだ。名古屋は別件だが、最初に東京で1人発見された時、1人相手ならば排除できるかと思ったのだ。姿が変わる君は先鋒として適任だと思って配置した。」

「結果は失敗だったじゃないか。」

「おかげで、スピカが尾けて大体の場所も特定できた。もう1人も見つけることができた。それだけで、先鋒としては上出来だ。」

「…そうか。そういうものなのか…?」


「他に質問はないか。では、指令を発表する。東京の2人とは既に接触があったから、多めに配置する。」



張り紙の上に新たな張り紙が貼られた。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・東京

→シリウス、リゲル、ベテルギウス

→リギル、ハダル、アークトゥルス

→アルタイル、アルデバラン、スピカ

→フォーマルハウト、デネブ、ベガ

→レグルス、プロキオン

→カノープス、アケルナル

・名古屋

→︎︎︎︎︎ポルックス、アクルックス、ミモザ

→アンタレス、カペラ姉妹

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

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