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日常。  作者: 海凪 悠晴
4/11

一緒に自動車教習へ

 その翌週からもまた、可奈子さんと並んで一緒にフランス語の授業を受ける月曜日の昼下がり。それがすっかり「日常」となっていた。

 やがて、夏休み前最後の授業の日を迎えた。このフランス語のクラスは通年なので二学期にも続いて同じ顔ぶれで授業がある。その日の次の時限、四限目の授業は休講だった。可奈子さんは元々月曜日の四限目は空き時間らしい。可奈子さんから、今日はその時間を一緒に過ごして欲しいと言われる。


 先週、梅雨明け宣言が出たので、もうすっかり真夏の空である。梅雨明け十日とはいったものである。夏らしくTシャツ姿の俺たちふたり。そこたらじゅうから蝉の声が響いてくるキャンパス内を並んで歩く。

 可奈子さんが口を開く。

「美里君さぁ、夏休みはどうやって過ごすの?」

「うん、とりあえず運転免許取りに行きたい。大学生になって初めての長い休みだからね。でも、教習についていけるか、ちょっと心配なんだよねぇ……。俺、鈍くさいから免許取るまで時間掛かっちゃうだろうなぁ……」

 俺は、つい不安な顔をしつつ、そう言った。可奈子さんの前では、そういう顔を見せたくはなかったけれど、ついつい、である。そこで可奈子さんが言う。

「ならさぁ、あたしと一緒に教習所に入校しない? 先輩からおすすめの教習所教えてもらったから。一緒に通おう?」

「でも、きっと可奈子さんにお先に卒業されそうだなぁ」

「だからこそ、いろいろ情報交換し合おうよ」

「こっちが情報受け取ってばかりになるだろうけどね」

「あはは、それでもいいじゃん。一緒に教習所に通おっ?」


 というわけで、大学の夏休みに入るとすぐに自動車教習所に可奈子さんと一緒に入校することになった。

 学科教習の方は揃って受けることができたが、案の定、技能教習の方は俺が滞りがちになってしまい、卒業検定に合格するまで俺のほうが一週間以上おくれをとってしまった。それでも俺が卒業検定に合格するまで待っていてくれていた可奈子さん。八月最後の八月三十一日にふたりで運転免許センターに行き、揃って運転免許を取得することができた。


「美里君、免許取得、おめでとう!」

「可奈子さんもおめでとう!」

 運転免許を取得した八月三十一日の夜。ファミリーレストランでふたりで打ち上げをした。とはいっても俺はまだ十八歳、可奈子さんも誕生日がもう過ぎたとはいえ十九歳。お酒を飲めるわけではない。それでも運転免許を取ったぞと思うと、少しばかり大人の階段をのぼったような気分ではある。

 俺が話し出す。

「そういえば、もう明日から九月だよね」

「ううん、でもうちの大学って九月いっぱいお休みだからね」

 可奈子さんがそう答えた。以降交互に言葉を交わしていく。

「そうだっけ? 残り一ヶ月何して過ごす?」

「せっかく運転免許取ったんだから、レンタカー借りてドライブ行かない?」

「どっちが運転するのかな?」

「美里君とあたし、交替交替でいいんじゃない?」

「うーん、俺、まだ車運転する自信ないんだよね……」

「なにぃー。美里君も免許皆伝なんだよっ! もっと自信持ってね!」

 交付日がお揃いの二枚の運転免許証。それを互いに取り出して、お互い交換して、また返したりなどしていた。

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