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第98話 ムルノも来た

 「やっぱりなーんにも変わってないね」


 ラーサが地面から出てくる。


 ……雰囲気ぶち壊すこと言うね。


 ラーサってさ、今のドヤ顔してるの。

 めちゃくちゃ面白い、ラーサのドヤ顔。


 これが戦闘中じゃなかったら絶対笑ってた。


 「アシト、何かを我慢してる顔をしてるね。何を我慢してるか教えてくれないか?」


 あ、バレた。


 「な、なんでもねぇよ!」

 「そっか、じゃ、続けるよ」


 ラーサが地面に左の掌をつける。


 すると、ラーサの前の地面からクソでかい岩が出る。

 それが俺に向かって高速で向かってくる。


 俺がその岩を蒸発させようとしたとき――


 「――!」


 俺の目の前にあったはずの岩が消えた。


 蒸発したわけでもない。


 一瞬にして消えた。


 「あーあ、なんか面倒くさそうなやつだなー」


 どこからか呑気な女の子の声が聞こえてくる。

 この声……。


 辺りを見渡してると、俺とラーサの間にムルノが現れた。

 キツネの姿じゃなくて、人の姿だ。


 「……誰だい? キミは」

 「名乗るほどでもないよ。……しかも、どっかで見たことあるなーって思ったら、ご主人様の友達じゃん」


 あれ?

 ムルノとラーサって会ったことあったっけ?


 ……そういえば会ってた気がする。

 みんなが俺の家に来たときに。


 「『地』の()()操者(オペラトルス)はチルタのはずだよ? ま、ご主人様がチルタを殺したけど。新しく雇ってもらったの?」

 「操者(オペラトルス)のことにつきてずいぶん詳しいじゃないか。見た感じ、まだ子供だけど」

 「そーだよねー。見た感じ、まだ経験が足りないように見えるでしょ? これでも一応キトナと同じくらい生きてるんだよ?」


 キトナって……、母さんじゃん……。

 母さんって見た感じ20代だけど……。


 ってことは、ムルノも20代なのか?

 見た目は完全ロリだけど。


 「ちょっと邪魔だから向こう行ってて」


 ラーサの掌の前にまた岩が現れる。

 野球ボールくらいの大きさだ。


 ……それくらいの大きさって『岩』っていうのかな……?


 それがムルノに向かって高速で向かう。


 ムルノのその場から動かない。

 もう完全に躱せないな……。


 俺がムルノの前に行こうとしたとき。

 岩が消えた。


 俺は驚いて、動きが止まる。


 「……なんでだ……?」


 今度はラーサが大量の岩を周囲に出す。

 それが一斉にムルノに向かう。


 でも全ての岩が、さっきと同じように消えた。


 「みんなさ、『最強の操者(オペラトルス)はスカー』とか言ってるけどさ――」


 「――『単純な操者(オペラトルス)最強』は私だと思うんだよね」

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