第95話 『邪気』がない村へ
「なんだよ……ここ……」
つい口に出てしまう俺。
俺たちは今、村にいた。
普通の村ならたいして驚かない。
なんか知らないけど、村中に『花』が咲いてる。
本当に色々な花が咲いてる。
サクラ、チューリップ、フジ、ツバキ……。
他にも知らない花がたくさん咲いている。
そしてめっちゃいい匂いがする。
まるで『敵』がいるとは思えない――
「――アシト、話があるの」
俺がリビングでゆっくりしてたら、母さんが急に話しかけてきた。
「なんだ?」
「なんかさ、変な村があるんだよね。操者に攻められたみたいなんだけどね、『邪気』が全然感じないの」
また久しぶりに聞いた、『邪気』って単語。
「だからさ、みんなで調べてきてくれない?」
母さんが言ってた『村』ってここだよな……?
でも操者がいる気配なんてないぞ?
……いや、逆に不自然か、この『村』。
こんな花なんて咲いてるわけねぇもんな。
「うわ、すごいよ、アシト。ここでお花見したら楽しそう……」
目の前にあるサクラに見とれてるルイナ。
確かにここでお花見したら楽しそうだな……。
「なんか今度は『花』の操者みたいだな」
セトオギロはツバキに見とれてる。
みんな武器かまえてないけど、大丈夫な?
確かに、今度の敵は『花』の操者みたいだ。
どんな能力なんだろう……。
想像できねぇな……。
……いや、俺たちの目の前にある、この『花』も武器なのか?
『花』から出てくる花粉みたいなのを俺たちの体内にいれることが目的なのかもしれない。
だったらもう手遅れだけど。
でも見た感じそうじゃないみたいだし。
「ねぇ、本当にこんなところに操者なんかいるのー? トルアキナ族すらいなさそなんだけどー!」
「俺に言うなよ。そう言ったのは母さんだ。どうする? 確かにどこにも――」
「アシトさん!」
俺の声をマユが遮る。
俺はマユの言葉を聞くと同時に、反射的に刀を抜いた。
そして振り向く。
すると、仮面を被った『誰か』が刀で俺に斬りかかっていた。
俺はその斬撃を刀で防ぐ。
俺に斬りかかってきたやつの左手の甲には『花』と刻まれていた。
俺がそいつの腹を蹴り上げようとすると、そいつは高く跳躍した。
そして俺たちから少し距離があるところに着地する。
身長は俺より結構低い。
マユよりも低い……?
結構小柄だ。
動きが速そう……。
そいつは刀を俺に向けた。
間違いない、こいつが『花』の操者だ。




