第94話 ムルノと寝た?
……ねむ……。
目覚めた俺。
見えるのは黒いもの。
多分ムルノだと思う。
最近一緒に寝てる。
だってかわいいんだもん。
でも、あの女の子の声はびっくりしたな……。
ムルノってメスだったっけ?
黒くて長い毛、結構あったかい。
……? 『長い毛』……?
ムルノって、もっと短い毛だったよな……?
しかもなんかこれ、髪の毛みたいだし。
やっと完全に目が開いた。
俺の隣で10歳くらいの女の子が寝てる。
しかも結構かわいい。
そしていい匂い。
……ヤバイ、こういうこと想像するのやめよう。
とりあえず身体を起こす俺。
俺が身体を起こしても、まだ気持ちよさそうに寝てる女の子。
どうしよう……、この状況……。
そんなことを考えてると、女の子はゆっくりと目を開けた。
そして俺の姿を確認すると、女の子も身体を起こして笑った。
うん、最高にかわいい。
本当にこの子、誰だろう……。
名前、聞きたいな……。
「おはよ、ご主人様」
俺に向かって喋る女の子。
しかもかわいい声。
そして昨日聞いた声。
ムルノ――人間バージョンの声と同じ。
『人間』じゃねぇか。
「いやー、久しぶりにこの姿でご主人様と一緒に寝て気持ちよかったな……。また明日も寝よ?」
「お前……ムルノか……?」
「そうだけど……? 前のキツネのほうがよかった?」
「まぁ、そっちのほうが撫でれていいな」
「この姿でも撫でられるよ? 昔はやってくれてたじゃん?」
いや、俺がこの世界に来る前のこと言われても……。
あとムルノ、かわいすぎる。
「あと、こっちの姿のほうがご主人様も思い出すでしょ?」
ムルノは左手で俺の左手を握る。
「もう4人もそろったし。『リュウ』の操者、『ム』の操者、『キ』の操者、それと『ア』の操者」
ムルノ?
すると、だんだん俺の左手が――
――変化しない……。
「あれ? おかしいな……。やっぱ私はできないんだ」
ムルノは俺から手を離し、ベッドからおりる。
俺は左手をよく見てみる。
うん、特に変化ない。
「――あ、ご主人様、この姿のことは内緒だよ?」
ムルノは窓を開けてそう言った。
そして窓から飛び降りた。
俺は急いで窓から顔を出して下を見る。
もうムルノの姿は見えない。
本当なんなんだ……。
最近変なこと起こりすぎて頭が追いつかない……。
でもムルノの女の子の姿は本当に驚いたな……。
想像以上にかわいかった。




