第92話 あと一人分
「残りはセトオギロくんとマユちゃん、あとはキイラくんだね」
リビングで母さんと二人きり。
しかも今真夜中。
母さんに起こされた。
そして机の上でムルノが寝てる。
かわいい。
「あと一人分のトルアキナ族の血があればいいんだけど……」
「一人分? 3人分じゃねぇのか?」
「この前アシトとマユちゃんが持ち帰ってくれたでしょ? 二人分」
あ、そっか。
キイラと会ったとき、もうすでに集めてたんだ。
じゃああと1人分。
なんかすぐ集まりそうだけど……。
「なんかね、最近トルアキナ族の数が減ってきてるんだよ」
? 減ってる?
「アシトたちがチルタを倒したときからさ、急に減り始めたんだよね」
「チルタとなんか関係あんのか?」
「いや、チルタとはないと思う。多分ゼルロがなんかしてるんでしょ」
確かに、チルタみたいなザコにトルアキナ族の数を変化させる能力があるとは思わない。
一応チルタも『ザコ』ではないんだけど。
俺もかなり苦戦したし。
「というわけで、そこらへんのザコトルアキナ族を見つけるより、操者の血を集めたほうがいいと思うんだよね。アシトもルイナちゃんも、操者の血でトルアキナ族化できたんだし」
あ、ルイナも操者の血でトルアキナ族化したんだ。
どうやってドララの血を吸収したんだ?
「アリトールには逃げられたんだよね?」
「ああ、あいつ、自分の脚切断しやがった」
「ってことは、次襲いかかってくる操者はアリトール以外か……」
そうなんだ。
アリトールが襲ってくる確率は低いんだ。
確かに、脚がないやつがまともに戦えるとは思えないけど。
でも、再生できるんじゃないか?
フィランだって片腕を、チルタもドララも回復してた。
ならアリトールも多分できるよな……。
じゃあなんであの状況で回復しなかったんだ?
できないのかな?
「ま、次がスカーみたいな化け物の確率は低いから安心して」
スカーって、『水』の操者だよな……。
確か、『どこからでも水を出せる』ってチート級な能力のやつだよな?
心臓とかに水出されたら死ぬもんな。
「……ってか母さん。なんでそれわかるんだ? ゼルロは俺たちを殺す勢いで攻め込んできてるから、スカーとか来てもおかしくないと思うんだけど」
「スカーはゼルロの最終兵器だよ? そんな簡単に最終兵器なんて使わないよ」
それもそっか。
最初はザコから俺たちと戦わせるのか。
なんかゲームみたいだな。
最初はザコしか出てこないけど、だんだん強くなる。
それでプレイヤーが成長するんだよな。
……ってことはゼルロ、俺たちを成長させたいのか?
……んなわけねぇか。
忘れよ。




