第90話 家に帰った
「ルイナちゃんならとりあえずは大丈夫だよ」
そう言って居間に来る母さん。
今俺たちは俺の家にいて、居間にいる。
あのあと、ルイナは歩けない状態になっていた。
だから俺が背負って家に帰った。
ルイナの右頬にある紋様はまだ消えてなかった。
それを見た母さんは少しだけ驚いた表情をして、ルイナを家のどこかに連れて行った。
まだ俺たちの体内には毒があるらしい。
俺は慣れたけど、マユとキイラはまだ苦しそう。
「勝ったの? 見た感じ結構傷ついてるけど」
母さんが頬杖をつきながら俺に訊く。
なんか微笑んでる……?
「まぁ、勝ったけど負けたな」
「勝ったけど負けた?」
「操者が二人いたんだけど、一人は殺してもう一人は逃げられた」
「……何の操者?」
「『毒』と『闇』だ。ドララとアリトール」
「アシト……、お前、名前わかるよかよ……」
俺と母さんの会話の中にセトオギロが入ってくる。
いや、名前わかるでしょ。
あいつらも戦闘中に言ってたし。
「殺したのはどっち?」
「ドララだ」
「! アリトールじゃなくて!?」
「ああ、ドララ」
「……マジ……?」
「マジ」
「本当?」
え、なんでそんなに聞き返すの?
俺なんか間違ったこと言ってた?
ちゃんとドララ、殺したよな……。
殺したのはルイナだけど。
「すごいね。結構厄介なやつなのに」
「毒でじわじわダメージ与えられたぞ?」
「……運よかったみたいだね。確かにドララはすぐ殺すタイプじゃないもんねー……。本当ならアシトくらいなら一瞬で殺せるはずなのに……」
え、俺一瞬で殺されるの?
それくらいドララ強かったの?
それとも俺が弱いの?
「――で、ルイナちゃんがトルアキナ族化して勝ったんだ」
「ああ」
「……本当に運よかったね」
だからなにが!?
それを説明して!
「ま、勝ったんだし、よかったよかった」
母さんはパチンと手を叩く。
「勝利のお祝いに、今日はお祝いしよっか」
母さんは立ち上がってキッチンのほうに行く。
料理する気だ。
「ムー! ムー!」
突然ムルノが俺の膝に乗ってくる。
久しぶりに登場、ムルノ。
今日もちゃんとかわいい。
何してほしいのかな?
撫でてほしいのかな?
……お、ムルノが口動かしてる。
何か言いたいみたい。
口の動きをよく見てみよう。
母音だけなら読み取れる。
『ウ』、『ア』、『イ』、『シ』、『テ』、『ル』。
? 『ウアイシテル』?
……!
『浮気してる!』
――って、何言ってんの!?
浮気なんてしてねぇし!
「アシト、最近ムルノのこと撫でてないよねー。そのくせにルイナちゃんにはベトベトしてて」
キッチンにいる母さんが言ってくる。
なんか表現ひどいな!
確かに最近ムルノのこと撫でてないけど!




