表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/269

第9話 教科書を取りに行く

 「よーし、それじゃ、教科書を取りに行くよ!」


 タヌキみたいなやつが教室に入り、俺たちに言う。

 ……誰だっけ、こいつ。


 ……あ、思い出した。

 俺の担任か。


 「それじゃ、二人一組をつくってねー」

 「先生、それは嫌です」


 誰かが手を挙げて言う。

 ……俺と組むの、そんなに嫌か。


 「大丈夫。余った人は一人でやってもらうから」


 先生は俺を細い目で見ながら言う。

 あ……俺、一人で運ばなきゃいけないのか。


 まぁ、頑張るか。


 みんなが『ペア組もうよ!』とかワチャワチャし始める。

 俺はここで何もせず待つか。


 「アシト! 一緒にやろ!」


 ……誰だい? 俺に話しかけてくれる人は。

 いや、一人しかいないか。


 俺はそんなことを思いながら顔を上げる。


 ルイナだ。

 俺の味方は君だけだよ。

 いや、母さんとムルノがいるか。


 共通点はみんなかわいい。


 「あ、ああ……ありがとな……」

 「うん!」

 「ペアが組めたら僕について来て! 余った人は頑張れ」


 先生が今度は俺を睨みながら言うな。

 でも先生、俺もうペアいるんですよ。


 「さ! 早く行こ!」


 ルイナは俺の腕を掴み、小走りする。

 みんなが俺とルイナを見る。


 でも俺を見る目は冷たい。

 ルイナを見る目は驚きって感じがする。


 そしてもう一つ気づいたことがある。

 ルイナの猫耳がめっちゃピンってしてる。


 ……語彙力なくてごめん。

 あれだよ……猫耳が張ってる……?


 尻尾は普通。


 俺たちは教室を出て、変な教室に入った。

 部屋が赤い。


 そこには机があり、大量の教科書があった。


 「まずペアになった一人分の教科書を運ぶよ。二人ではんぶんこしてね」


 タヌキ先生がそう言う。


 ルイナは早足で一つの教科書の束に近づき、半分を持つ。

 ……いや、少し半分より多い……?


 俺も残ったやつを持つ。

 なんでかな……めっちゃ軽く感じる。


 逆にルイナは重そうな表情をしている。


 「……ルイナ? もうちょっと持つよ?」

 「えっと……ありがとう……じゃあお願い……」


 俺はとりあえずルイナの持っている教科書を全部もらう。

 ……重くない……てか軽い……


 「え……! アシト……重くないの……?」

 「あ、ああ……」


 ルイナはめっちゃ驚いている。

 そんなに驚くか……?





 最終的に俺はルイナの分の教科書も運んだ。

 これで学校は終わりみたいだ。


 この世界の学校は終わるのが早いのかな……?

 まぁ、楽でいいけど。


 「アーシト! 一緒に帰ろ!」


 昨日と同じようにルイナが言う。

 ……優しいな……


 俺はうなずいて、学校から出た。

ルイナ優しいですね……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ルイナ、かわいいですね! 今後の活躍期待してます。
2023/06/20 15:58 ルイナ好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ