第84話 マジでやる
マジで戦う……!
ヤバイじゃねぇかよ……!
……いや、本当にこいつはこれから本気出そうとしてるのか……?
そんな力があるなら、最初から本気出してたはずだ。
じゃあこれは嘘か?
その可能性のほうが高い。
俺たちを動揺させるために言ってるのか?
いや、それならルイナの腕が紫色になった理由がわからない。
ルイナはあの女の毒に強かったのに、急に毒に侵されたってことは……。
……やっぱり、女の言ってることは本当なのか……?
だとしたら、ルイナ以外のやつはみんな死んじまうじゃねぇかよ……。
「どうしたの? 私に殴りかからないの? それとも、もう殴りかかれない腕になっちゃった?」
女は挑発の言葉をルイナに向かって言いながら、ルイナにかなりゆっくりと近づく。
ルイナは女をにらでる。
女はそんなルイナの目を見て楽しんでるように笑っている。
「やっぱり効くじゃん、私の毒。何かの間違いだったのかな?」
「…………」
「黙り込んじゃってどうしたの? 何も言い返せないの? まぁ、下手に挑発するよりいいよね。私を本気で怒らせてじわじわ殺されるより、今の感情のままにしておいて即死したほうが楽だもんね」
女は短刀を力強く握りしめる。
俺は女の隙を見つけたが、動くことができない。
ルイナに『動くな』って言われてから動いてないけど、その間にあの女が俺の体内にある毒を強くしたみたいだ。
マユ、キイラも動けないみたい。
早くこいつ倒して、セトオギロのとこに行かなきゃいけないのに――
「――今だよ」
ルイナが突然言う。
すると、ルイナの前の地面から赤い液体が吹き出してきた。
『血』か……?
その吹き出た液体は、まるで意思があるように女に向かう。
女は液体に当たるギリギリで高く跳躍する。
すると液体も、女を追いかけるように上へ進んだ。
女は襲いかかってくる液体を躱しきれず、液体に飲み込まれる。
女を飲み込んだ液体はルイナのところに戻り、ルイナの前で止まった。
液体は宙を浮いている状態になってる。
肝心の女は、ただ濡れてるだけ。
ダメージを与えたようには見えない。
ルイナは何をしたかったんだ……?
「……? なーんだ。ただ濡らしただけなんだ」
傷がついていないことに気づいた女は、また笑う。
一方、ルイナは前にある液体を見ている。
「……トルアキナ族の力、使ってみるよ」
ルイナ?
何を言ってるんだ?
そんなことを思ってルイナを見ていた。
するとルイナは、自分の唇を噛んだ。
その瞬間、液体がルイナに向かう。
液体はルイナを飲み込む。
すると、空気の流れが変わった。
ルイナを飲み込んだ液体は、煙のように消えた。
そして、その中にはルイナがいた。
いつものルイナじゃない。
右頬に紋様があるルイナだった。




