第75話 再びあの村へ
「今度は全員で行動する?」
ルイナが村を見ながら俺に訊く。
なんで俺の顔を見てくれないんだ……?
「ああ、全員で行動したほうがいいな、きっと」
「でもお前、あの変な技使えねぇぞ? 当たり一面を蒸発させるやつ」
よく覚えてるな、セトオギロ。
確かに黒発射炎使えないな。
でも今回は――
「今回の目標はトルアキナ族の血を集めることだろ? 全部蒸発させちまったら、血なんか集められねぇよ」
「いや、トルアキナ族っちゃトルアキナなんだけどな。なんか変な気配がするんだ」
? 気配?
どんな気配だ?
「この感じ……操者に似てる……」
へー……操者か……。
じゃあ本気でやらなきゃな、今回。
ってか、操者の気配とかわかるんだ。
俺は全然わかんないんだけど。
「そうだね、すんごい気配感じる」
「はい、奥の方ですね」
え、なに?
みんなわかるの? 操者の気配。
わかんないの俺だけ?
「じゃ、行くか」
セトオギロがここから高速移動する。
それに続いてみんな高速移動する。
俺も行かなきゃ――
そう思って脚に力を込めたときだった。
俺の全身が熱くなった。
身体の中に太陽ができたみたいに。
でもなんでだろう。
身体はめっちゃ苦しいのに、心は落ち着いてる。
すると、俺の視界が赤色に染まる。
全てが赤色に染まる。
それ以外何も見えない。
『まだ操れないのか』
後ろから声が聞こえる。
俺とよく似た声だ。
ゆっくり振り返ると、そこには俺がいた。
まったく同じ姿。
顔も身長も、全部俺と同じだ。
『まぁ、『この世界に来たばかり』だと思えば早い方か』
やっぱり声まで俺と似てる。
「お前……」
『キトナ、よくここまでやったもんだ』
キトナ……。
俺の母さんの名前?
『このペースじゃ、ゼルロまでどのくらいだ?』
ゼルロ?
何を言ってんだ、こいつは。
『早く使いこなせよ』
俺の前にいるやつ――俺にそっくりなやつは俺にそう言った。
その瞬間、俺の視界がもとに戻った。
それと同時に、俺の具合もよくなった。
なんだったんだ……今のは……。
「アシト、どうしたの?」
気づけば前にルイナがいた。
「あ、ルイナ……」
「大丈夫?」
「あ、ああ。悪い。行こう」
俺はそう言って、みんなが言ったところに向かって高速移動した。
「あの鬼、なんか面白いね」
アシトが去ったあと、その場にいたのは二人の者。
一人の男と一人の女だった。
二人とも右頬に紋様があり、男の左手の甲には『闇』と刻まれたおり、女には『毒』と刻まれていた。
「ああ。ゼルロ様が一番警戒すべき男とおっしゃっていたくらいだ、ただ者じゃない」
「どのくらい私の『毒』に耐えられるかね」
「それはやってみないとわからねぇな」
男はニヤリと嗤った。




