第73話 妹を捜してほしい
「……妹?」
「ああ、生き別れたんだ」
へー、生き別れた妹か……。
こういうの言われると、結構びっくりするな……。
「俺が小さい頃に別れたんだ」
「そっか、で、その妹さんの特徴は?」
「それがわからないんだ」
「まぁ、結構小さい頃に別れたんだろ? 覚えてねぇのはわかるけど、少しだけでも覚えてねぇか?」
「わからない。記憶がないんだ」
記憶がない?
記憶喪失?
「覚えがあるのは炎の中で叫ぶ妹。そこで俺は意識を失い、どっかの家に拾われて、十一のときにトルアキナ族の巣のところに閉じ込められた」
トルアキナ族の巣って、あの洞窟か。
こいつ、『七年間そこにいた』って言ってたよな……。
じゃあこいつ、今十八歳?
転生する前の俺の年齢と同じだ。
なんか『特別な仲間感』がすごい。
「ってか、妹だけでいいのかよ? 父さんや母さんじゃなくて」
「実の父と母は死んだ。俺を育てた男と女も目の前で殺された」
「タハにか?」
「いや、フィランだ」
アイツか……。
フィランだけ大量に殺してる気がするな。
チルタはあんまり人殺してなさそうだったけど。
「……で、その妹さんはどこにいるかとかもわかんねぇのか?」
「ああ」
「マジかよ……。それじゃ見つけるのはかなり難しそうだな」
うん、これは俺が合ってる。
だってこの広い世界でどうやって見つけるの?
どう考えても無理だな。
「悪いけど、それは難しそうだ」
「そうか……、貴様の母さんにも言われた」
母さんにも無理なんだ。
じゃあ俺にできるわけねぇじゃん。
「あと、貴様の家の赤いスープ、無駄に美味いな」
ああ、あのスープか。
確かにあれはめっちゃ美味い。
ってか今、『無駄に』って言った?
全然『無駄』じゃないんだけど。
それより、最近寿司食ってねぇ……。
この世界に来る前には一ヶ月に一回は回転寿司に行ってたのに……。
「何の材料を使ってるんだ?」
「さぁ? 知らん」
「知らないのか?」
「ああ、料理つくってるの母さんだし」
「……じゃあこいつはなんだ?」
キイラが俺の後ろを指で差す。
ベッドに座ったまま頭を後ろに回す。
そこにはムルノがいて、ベッドに座っていた。
久しぶりにでてきたな、ムルノ。
なんか変な生物。
「ああ、こいつはムルノ。かわいいだろ?」
俺はムルノの身体を持ち上げ、膝の上に乗せる。
うん、やっぱりかわいい。
めっちゃ癒やされる。
……みんな、異世界に転生したらまずかわいい動物を見つけよう!




