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第7話 家の中に入るルイナ

 「……アシト……なにこれ……」


 ルイナがスープを見て俺に質問する。

 俺が今日食べた、あの赤いスープだ。


 まぁ、最初見たら結構びっくりするよな。


 「大丈夫だよ、ルイナちゃん。血とかじゃないから」


 母さんがルイナに笑顔で言う。

 そう言われてもな……

 食べれないよな……


 ゴキブリの丸焼き食えっていわれてるようなものだぞ……

 いや、それは大げさか。


 「じゃ、じゃあ……いただきます」


 ルイナは震えながらスプーンを持ち、スープをすくう。

 そしてゆっくりと口に入れた。


 その瞬間だった。


 「! なにこれ! 美味しい!」


 ルイナはスープをすごい勢いで飲み始める。

 すげぇ食べっぷり……


 猫ってこんな大食いなのか……

 ルイナだけかもしれないけど。


 「ごちそうさま!」


 ルイナはスプーンを机に置く。

 食べるの早……!


 めっちゃ早食いじゃん。


 てか、あの『タハ』とかいうやつ死体とこにいった?

 なんか消えてるんだけど。


 母さんが何かしたのかな……


 「そういえばさ、エサやった? ムルノに」


 母さんが唐突に俺に訊く。

 また来たよ、俺の知らない単語。


 「ムルノ? 誰?」


 今度はルイナが俺に訊く。

 耳がめっちゃピクピクしてる。


 「アシトが飼ってる動物なの。今なら呼ぶね」


 俺のかわりに母さんが質問に答えてくれた。

 そして壊れた窓から右手を出す。


 すると、母さんの腕が燃えた。

 ……燃えた……?

 めっちゃヤベェじゃん!


 でも母さんは無反応だし、この世界では当たり前なのか?

 自分の腕が燃えること。


 そう思ってルイナを見てみたけど、ルイナも驚いているようだ。

 よかった、おかしいのは母さんだけか。


 「あ、来た来た!」


 母さんが嬉しそうに言ったから、俺は母さんを見る。

 ……なんか燃えてる腕にちっちゃくて赤いキツネみたいなやつが乗ってる。


 「ほら、これがムルノだよ」


 母さんはキツネを家の中に入れる。

 すると母さんの燃えてる腕から火が消える。


 キツネはルイナの膝に乗り、ルイナを見つめる。

 かわいい。


 「ムルノはなでられることが好きなんだ。なでてみな?」

 「え、いいんですか?」


 ルイナはそう言って、キツネをなでる。

 さらにかわいい。猫がキツネをなでてる。


 こんなかわいい生物を飼っていたのか、俺は。

 鬼に転生して嫌なこともあったけどいいこともあるな。


 嫌なことは自分の角が重いこと、差別されること。

 いいことはめっちゃかわいい母さんと生活すること、ルイナみたいな友達できたこと、かわいい生物飼えること。


 いいことだけ結構変態的要素入ってんじゃねぇか。


 キモ……俺……

ルイナも大好き、赤いスープ

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