第69話 洞窟内のルイナたち
三人称視点です!
「もー! なんでアシトいないのー!?」
猫耳をピンとして叫ぶルイナ。
これはアシトがキイラと出会い、マユが竜の姿へと変化する少し前の出来事。
当然、ルイナはアシトとマユと離れた。
「知らねぇよ。んな大声で言ったってなんも起こんねぇぞ」
そう言って辺りを警戒するのはセトオギロ。
アシトとマユはその場から離れたが、マユとセトオギロは移動はしなかった。
「セトオギロなんかじゃなくてアシトがよかったのに……」
「俺で悪かったな」
「本当だよ!」
「そんなにアシトといたいなら早くアシトのとこに行くぞ」
セトオギロはもと来た道を帰ろうとする。
ルイナはため息をついてせとおきについていく。
「ルイナ、お前さ――」
セトオギロが歩きながら言う。
「――油断してんじゃねぇよ」
セトオギロが鎌を握って振り向き、ルイナの後ろに鎌を投げる。
その鎌はルイナの後ろにいたトルアキナ族に当たった。
しかし、ルイナはすでにそこにいなかった。
ルイナはセトオギロの背中の方にいて、トルアキナ族を殴り飛ばしていた。
「『お互いに』ね」
「…………」
セトオギロは目を細くしてルイナを見て、鎌を背にかけた。
「で、どうするの? このまま出る?」
「それしかねぇだろ。アシトのことだ、どうせこの洞窟を蒸発させるだろ」
「だといいけどね」
「……やっぱお前、無理してるだろ?」
セトオギロの突然の言葉に、ルイナの動きが止まる。
そして、まるで機械のような動きでセトオギロから目をそらした。
「アシトの前だけ無駄に元気だよな、お前。チルタとかいう操者の戦いでアシトと離れたとき、お前の態度ガラッと変わったもんな」
「……バレないようにしてたんだけどな……、ハハ……」
口角を無理に上げて、笑おうとするルイナ。
しかし『笑っている』ようには見えなかった。
「やっぱお前、アシトのこと好きだろ?」
「……うん、好き」
「そっか、お前、みんなと違うな」
「どこが……?」
「みんな『鬼だから』って理由だけでアシトを嫌った。嫌いだと思っていないやつは、アシトのことを怖いと思っていた。それに比べてお前は楽しそうだった。みんなと違うだろ?」
「……そうだね」
ルイナはセトオギロから目をそらしたまま歩き出した。
セトオギロはルイナについていった。
「……外、出たね」
「ああ、出たな」
外に出たルイナとセトオギロ。
ここまで、特にトルアキナ族の襲撃などはなかった。
そんなときだった。
洞窟の中が赤色の光に包まれたのは。




