第67話 仮面のやつ
「――!」
俺は起き上がる。
それとともに、身体の中に激痛が走った。
「まだ起きないでください」
マユの声。
俺は声が聞こえてきた方向を見る。
そこには無傷のマユが立っていた。
無傷なのか……。
ってか、アイツどこ行った……?
「なぁ、マユ。あの仮面のやつ――」
「ここにいる」
俺の隣から男の声がする。
今度はその方向を見る。
そこには緑の刀を持った二十歳くらいの男がいた。
来てる服からして、さっきの仮面のやつだろう。
でもこいつ、なぜか無傷だ。
俺が片腕、片脚をなくしたはずだ。
「まったく、お前ら……。『殺す気はない』って言ってんのに本気で向かってきやがって」
「先にマユに攻撃したのはお前だろ」
「お前らが気絶してるときに、お前らを回復させるつもりだった」
「だから信じられねぇって――」
「アシトさん、それは本当のようです」
マユがその場から動かず、俺と男の会話に参加する。
「アシトさんが気絶してるときに話し合ったんです。それでわかりました」
いや、どんな会話したら『この男は俺たちを傷つける気はない』ってわかるんだよ。
めっちゃ気になるわ。
……でも、マユが言ってるなら間違いねぇか。
セトオギロが言ってたら話は別だけど。
……ってかアイツらどこ行った……?
「お前、名前は?」
男は突然俺に訊いてきた。
「アシトだ」
「俺はキイラだ。よろしくな」
男――キイラは俺に手を差し伸ばす。
『よろしくな』って、これから一緒に行動するのか?
俺はキイラの手を掴み、立ち上がった。
「アシト、お前はなんでここにいる?」
「なんでって……、トルアキナ族の血を集めるために」
「……妙な趣味だな……。性癖か?」
「違ぇよ」
俺は深呼吸をして、落ちている二本の刀を拾う。
どっちとも俺のだ。
「そういえばマユ、お前もう採ったか? 血」
俺は懐から例の注射器を出す。
中には赤色の液体が入っている。
何十体ものトルアキナ族と戦ったとき、隙を見て集めた。
「はい」
マユも懐から注射器を出す。
その中にも赤色の液体が入っていた。
「よし、じゃあここは用済みだな。ルイナとセトオギロ見つけて出るか」
「お前ら、ここから出ようとしてるのか?」
キイラが訊く。
「まぁ、それしかないし」
「出る方法、あるのか?」
は?
何言ってんだ、こいつ。
もと来た道帰ればいけるって。
「その言葉からすると、ここから簡単には出られないようですね」
マユがやっと俺に近づいてくる。
「ああ、出られないんだ」
……マジか……。
それと、今思いつかなくていいことを思いついた。
全然関係ないけど。
母さんさ、トルアキナ族の血を集めるために注射器を渡したんだろ?
なんでトルアキナ族の血を集めるかっていうと、その血を取り込んでトルアキナ族化するため。
でも、俺ってもうトルアキナ族化できるよな?
完全にはコントロールできないけど。
それでなんで母さんは俺に、トルアキナ族の血を集めろって言ったんだ……?




