第65話 洞窟の中
「アシト、本当にこんなところにトルアキナ族なんているのか?」
洞窟の中。
暗いし、湿ってるし、寒いし、最悪の環境だ。
そんな状況でセトオギロが訊いてくる。
「俺が知るかよ。母さんがそう言ってたんだから、多分いる」
「――トルアキナ族がいる場所を教えるね」
あれから数時間後、セトオギロとマユが起きた。
そしたら母さんが全員をリビングに呼んだ。
「『死花洞窟』って場所にいっぱいいるよ。そこなら変なこと起こんない気がするし、頑張ってね。血はこれで集めて」
母さんが懐から注射器を四本出す。
針のところにはちゃんとキャップがついている。
「怪我は治したから、全力でね。じゃ、またね」
この洞窟は無駄に大きい。
俺の剣炎の明かりを頼りに前に進む。
この洞窟に入ってから何分経ったんだ……?
軽く一時間は歩いた気がする。
「アシトー、私疲れたー!」
ルイナが俺の後ろでなんか文句言ってる。
俺だって疲れたよ。
「! アシト!」
今度はセトオギロが言う。
今度はなんだよ……。
そう思って振り向く。
なんだよ……なんもねぇじゃん――
――? セトオギロ……?
どこ行った……?
どこを見渡してもセトオギロの姿はない。
ルイナもいなくなってる。
マユも俺と同じように、辺りをキョロキョロしている。
「マユ! アイツら、どこ行ったかわかるか?」
「いえ……突然煙のように消えて……」
トルアキナ族の技か……。
俺は刀をかまえる。
マユも短刀を抜き、逆手にそれを持ってかまえる。
でも、近くにトルアキナ族がいる気配はない。
「アイツらがいたずらで隠れたとは考えにくいな」
「はい……、遠隔操作で技を発動してるのでしょうか」
「目の前に現れてくれるのが一番嬉しいんだけどな。どうする? 移動するか、ここにとどまるか」
「私は移動することを望みます」
「俺もだ」
俺たちは隙を見せないまま前に歩く。
近くに生物がいる気配はない。
いっそ黒発射炎で洞窟ごと蒸発させるか?
でもそれじゃ、洞窟内にルイナたちがいたらまずいな……。
「――!」
後ろで刃の刃が交わる音がする。
振り向くと、マユと男が刀を交えていた。
トルアキナ族だ。
俺はその男の後方に回り、男の首を切ろうとする。
しかし、男は俺の斬撃を躱す。
そして男は俺の頭を斬ろうとする。
俺はそれを躱すためにしゃがんむ。
しかし、男は足を俺に見せる。
そこには小刀がついていた。
それは躱しきれず、俺の右頬を軽く切られた。
それと同時にマユが男の胸に短刀を刺し、角で男の頭を刺した。
「アシトさん……、大丈夫ですか?」
「ああ、俺は大丈夫だ……」
俺は頬から出る血を手で拭う。
「これから戦えますか?」
「ああ、少し休めば――」
「休む時間もありませんよ」
……は?
マユの言葉に不思議に思ってるとき、後ろから気配を感じた。
……いや、後ろからだけじゃない。
全方位から感じる!




