第60話 チルタの怯え
「なんなんだよ……それ……!」
チルタが俺を見て言う。
自分でも何が起きたのかわからない。
痛みを感じなくなってる。
ただ熱いけど。
「アシト……」
ルイナがつぶやく。
全員めっちゃ汗をかいてる。
マユもさっきまで殺意がめっちゃある目だったのに、今はどちらかというと心配そうな目をしている。
本当に何が起きてるんだ……?
「き、訊いてんだよ! なんなんだ! それは!」
チルタが氷柱状の岩を出す。
それは超高速で俺に向かう。
俺はそれを躱そうとするが、それをする必要はなくなった。
岩が俺に近づいた瞬間に、岩が蒸発した。
俺の技に『俺に近づくと、そのものを蒸発させる』なんて技はない。
そもそも今、技を使ってない。
マジで……なんだ……?
ヤバいことになってるのかな……?
ちょっ、教えて、母さん!
……? 母さん?
返事して?
なんで返事してくれないの?
無視? ひどくない?
待って、身体が熱くて……そろそろ限界……。
どうしよう……。
ここで倒れたら負けるし……。
どうしよう……。
さっきから『どうしよう』しか言ってない……。
でも、チルタもなんかビクビクしてるし、勝てるかもしれないな……。
「無視するな!」
チルタが掌を地面につける。
「地獄!」
俺の周囲の地面が震える。
何が起きてるんだ……?
その瞬間、俺周囲の地面が真っ赤な液体になる。
ルイナとセトオギロ、マユはその液体の中に沈んだ。
「ハハハ! お前の仲間は全員落ちたな! お前もこれから落ちるんだよ!」
……確かに。
俺このあと落ちるな……。
でも落ちない……。
俺の下の地面は液体になってるのに、俺は立っている。
下を見ると、俺の足の下に板のような炎があった。
炎に立ってる……?
「なんで落ちないんだよ! ……まぁいい! お前の仲間は全員落ちたんだからな! 確実に死んだぞ!」
「……助かる可能性ってのはないのか……?」
「ああ! あるわけないだろ! その液体の中に入れば操者でも死ぬんだぞ!」
マジか……まぁ、その辺は母さんがなんとかやってくれると信じよう。
「どんな小細工をしたか知らないけど、お前にはもう仲間はいない! 独りなんだよ! お前は!」
チルタは俺に殴りかかる。
やっぱり速い。
でも、なぜか遅く感じる。
今の俺なら勝てるかもしれない。
いや、勝てる。
何が起こったかわからないけど、こいつだけは絶対に殺す。
そろそろチルタ戦終わります!




