第59話 紋様が消えた
「お前ら……なかなか面白いことしてくれるじゃん……!」
チルタは俺たちを見下すような目で見る。
無傷……。
なんでだ……?
紋様もなくなってるし……。
そういえば紋様って……力を抑えるためにあったんだよな……?
ってことは―――
その瞬間俺の前にチルタが現れ、俺の頭を掴む。
そして俺を遠くに投げた。
さっきよりも速い……!
動きも見えなかった……!
クソ……どうすれば……!
俺は体勢を立て直し、地面に足をつける。
脚が『ボキッ!』と鳴り、そこに激痛が走った。
骨が折れたか……。
これじゃ上手く戦えないな……。
とりあえず俺はとまり、チルタに向かう。
紋様が消えていた。
ということは『封印を解いた』と解釈していいのかな……?
つまり、今のチルタはさっきの何倍も強くなってる。
しかも無傷だ。
勝てる自身がないな……。
『……とうとう解放したか……』
「母さん……なんだよ、あれ」
『操者だけが使える技。封印を一時的に解くの。確か……十倍は強くなってる気がする』
「それは聞かないほうがよかったな……」
十倍……。
さっきでも互角だったのに、その十倍……。
絶対勝てない……。
『それに、まだ敵は何か技をかくしてるみたい。用心して』
だからどうやって用心すればいいんだよ……。
あいつに炎は効きそうにないし……。
セトオギロがあいつのエネルギーとかを吸収してるみたいだけど、セトオギロが回復してるようには見えない。
マユは怒りに任せて動いてるし……ルイナも怪我してて動けなさそうだし……。
俺しかいねぇじゃねぇかよ……。
「お前、まだ動けるのか? しぶてぇな」
チルタが俺を見ながら言う。
どんな感じに攻撃しよう……。
「今殺してやるよ」
チルタが俺の目の前に現れる。
やっぱり見えない……。
そして、俺の腹を殴る。
チルタの拳が俺の身体を貫通した。
でもなぜか痛みを感じない。
……待って……。
痛みを感じないってことは……死が近いってこと……?
ヤバい……どうしよう……。
そのとき、俺の体内が熱くなる。
身体の中にマグマを入れられたみたいに。
「! なんだ! クソ!」
チルタが俺から離れた。
チルタが俺を殴った手は、火傷したように赤かった。
なんだ……これ……。
ヤバい……熱い……。
俺の腹から血が一滴こぼれる。
それは地面に落ちた。
するとその血が燃え、俺の周囲の地面が燃えた。
もう一滴、血が地面に落ちる。
すると、炎が激しくなる。
なんなんだ……これ……。




