第58話 マユ対チルタ
「なめられてたのか? 俺が。それはムカつくな……。ハナも操者なんだぜ? ほんなに弱いわけないだろ」
チルタの言葉にまたマユが反応する。
超高速でチルタに斬りかかっていた。
それより、ハナって誰だ……?
マユの反応からすると、マユの家族か友達か、それとも師か……。
それより、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。
早くチルタを殺さなきゃ……。
「アシト、今回の戦いは私に向いてないみたい」
ルイナがマユを見ながら言う。
「私の技は全部岩で防がれるし、岩は破壊できないし……」
「……アシトは蒸発してたけど、全力で殴っても壊れないのか?」
「うん、アシトがおかしいだけだから……」
……なんか悪口言われてる……?
俺っておかしいのか……?
「とにかく、あいつはこれから技を使い始めるよな……。一番相性がいいのはアシトか?」
「俺……? 確かに岩は蒸発できるけど……」
蒸発したところで、また新しい岩を出されるだけだし。
その隙に攻撃されるだけだし。
母さんだったらどんな戦い方するかな……?
『私? 私は戦う前に勝つからな……』
頭の中で母さんが教えてくれる。
戦う前に勝つって……。
心理戦とかするの……?
「! すごい……」
ルイナがつぶやく。
マユを見ると、血まみれで立っていた。
でも、チルタも血まみれで立っていた。
何が起こったんだ……?
いや、今がチャンスだ……。
俺はチルタに斬りかかる。
チルタは俺を見て体勢を立て直そうとする。
でもさっきよりも遅い。
マユがどんな風に戦ったかは知らないけど、これなら斬ることはできる。
「地動・下方掴!」
俺の脚が地面に埋もれる。
まるで水みたいに。
でも抜け出すことはできない。
ヤバい……今攻撃喰らったら―――
「任せて!」
ルイナが俺の前に現れて地面を思いっきり蹴る。
すると地割れが起こった。
それのおかげで俺の脚が解放された。
「いい加減に死ねよ!」
チルタが地面の中に沈む。
どこから来るか……。
「後ろだ!」
セトオギロが叫ぶ。
すると俺の後ろから誰かが俺のことを殴ろうとする。
躱せるか……、いや、無理だ……。
ヤバい……どうしよう……。
「アシトだけが相手じゃねぇんだよ!」
セトオギロがまた叫び、鎌をチルタに向かって投げる。
チルタはそれを躱す。
「そうだよ!」
ルイナが鎌を蹴り飛ばし、鎌は再びチルタに向かう。
チルタはそれを躱そうとするが、チルタの脚に短刀が二本刺さった。
マユが投げたのだ。
俺はその隙に、チルタの胸に刀を刺す。
それと同時に、鎌がチルタの頭に刺さった。
俺は心臓を刺したし、これで―――
「―――地解!」
チルタが叫ぶ。
するとチルタが光に包まれ、チルタから激しい風が出る。
俺らは吹っ飛び、倒れた。
光がやむ。
全員が痛みに耐えながらチルタを見た。
そこには無傷で、右頬にあったはずの紋様が消えているチルタがいた。




