第51話 死んだ?
……へ? 母さん?
今の攻撃……死んだ……?
母さんはピクリともしない。
……ヤバいヤバい!
俺母さん殺しちゃった!
「アシト……?」
俺の後ろからルイナの声。
振り返ると、血まみれのルイナがいた。
「え!? ルイナ!? あ、えっと、これは……」
「アシトの……お母さん……?」
ヤバい!
どうしよう!
マジで母さん殺しちゃった!
「……本当にすごいね」
今度は俺の後ろから母さんの声。
まだ生きてる……?
振り返ると、無傷の母さんがいた。
でも、その隣には真っ黒になった母さんの身体がある。
……母さんが二人になった?
「あんな技、よく使えるようになったね」
今の母さんはピンピンみたいだし、安心していいのかな……?
うん、安心しよう。
「これさ、私の人形なんだ」
母さんは、さっき俺が倒した母さんを蹴る。
ひどい……。
「大きく言っちゃうと『分身』になるかな? アシトはそれを殺したんだね」
えっと……母さん怒ってる?
いつもより声のトーン低いし。
母さん怒るとめっちゃ怖そう……。
「私と比べて、スピード、攻撃力は低いけどさ、防御力は私と同じなんだ」
防御力は本物の母さんと同じ……?
ってとこは母さんがあの技を喰らったら、母さん死ぬってこと?
俺の技めっちゃ強いじゃん……。
……まぁ、代償は大きいけど。
今立ってるのがギリギリくらいなんだけど。
「アシト……さっきの技といい、今の技といい、強くなってるね」
あ、どうも。
「――――やっぱりテレカが言った通りだ――――」
……? 母さん?
「……! ごめん! ちょっと考えごとしてた! 今のは忘れて! アシトがもうちょっと大きくなったら教えてあげるから!」
いやいや!
無理があるって!
あんな意味深な発言をどうやったら忘れられるんだよ!
しかも『もうちょっと大きくなったら教えてあげる』って言葉!
それって、子供が親に『子供ってどうやってつくるの?』って訊かれたときの言い訳じゃん!
「……? 終わったのか?」
セトオギロとマユが俺に向かってくる。
二人ともボロボロだ。
……俺だけあんま怪我してない……。
いや、『あんま』じゃなくて『全然』だ。
「アシトと修行すると私が死にそうだなー……。もう私なんかじゃ相手にならないね」
いや、そんなことないよ……?
俺があの技使わなければいいだけし……。
「さてと、お客さんもいるから、おしゃべりはこのくらいにしとこっか」
……お客さん……?
そう思ってたら、地面が消えた。
何かを思う暇もなく、俺たちは落ちた。
唯一、母さんは落ちなかった。
母さんはその場から消えていたから。
俺は闇に包まれた場所に落ちた。




