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第46話 アシト、負けた?

 「まさかアシトが負けるとは……」


 母さんが頭を抱える。

 まぁ、負けることもある。


 「尾節に刺されて毒注入されたんだよな?」


 セトオギロが俺を煽るように訊く。

 仕方ねぇだろ……不意打ちだったんだから……。


 ……あれ『不意打ち』っていうのかわからないけど。


 「背中の痛みはもう大丈夫なんですか?」


 一方マユは優しい。

 こういう友達がほしかった……。


 ……あ、向こうの世界にいたときの話ね?

 友達どころか、親も最低だったからな……。


 「アシト、体力的にまだいける?」


 母さんが優しい口調になって俺に訊く。

 まぁ、傷も治ったし、まだいけるか。


 「まだいけるならさ、これからトルアキナ族と戦おうと思ってるんだけど」


 へぇー、トルアキナ族か……。

 ―――って、ちょっと待って!


 トルアキナ族!?

 めっちゃ強いじゃん!


 戦うなら普通のタハじゃないの!?


 「今のみんなならそこら辺のトルアキナ族くらいなら余裕で勝てると思うんだ。もちろん、操者(オペラトルス)には勝てないけど」


 トルアキナ族ってそんな弱いの……?

 確かに、初めてトルアキナ族と戦ったときは一瞬で勝てたけど!


 ……それと最近気づいたんだけど、この前母さんが『トルアキナ族はアシトの心臓を狙ってるから気をつけろ。死なないために戦うぞ』みたいなこと言ってた。


 でも本当にそんな理由だけなのか……?

 母さんは『俺とトルアキナ族を戦わせたい』つて思ってないか……?


 俺の心臓を護るのが目的なら、ただ強くなればいいだけじゃないか?

 確かに強くなるために修行するんだけど。


 だけど、母さんはまるで『トルアキナ族を殺したい』って言ってるみたいだ。

 ただ強くなるためなら操者(オペラトルス)と戦う必要なんかないよな……?


 戦ったら絶対に負けるし。

 母さんは何を考えてるんだろう……。 


 「でさ、アシト、体力は大丈夫?」

 「あ、ああ……」

 「よし、じゃあ行こう!」


 母さんは元気に言って歩き出した。





 「―――で、誰がアシトとかいうやつを殺すんだ?」


 とある城の中で、左手の甲に『炎』と刻まれた男が大声で言う。

 その近くには『地』と刻まれた男と『花』と刻まれた少女がいる。


 少女は仮面を被っていた。


 「ハナ、お前が行くか?」


 『炎』と刻まれた男が『花』と刻まれた少女に言う。

 少女は黙ってゆっくり首を横に振る。


 「……お前、何も喋んねぇんだな」

 「仕方ねぇよ。こいつはこういうやつだ。俺が行く」


 『地』と刻まれた男がニヤリと笑いながら歩き始める。


 「まぁ、すぐ行ってもあれだし。俺もとっておきの『必殺技』を使いたいし。もう少し待つか」

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