第45話 身体が動かない!?
……いつまでこの体勢なんだ……?
早く起きたいんだけど……。
「……! アシトのお母さん! アシトが……!」
ルイナがまた涙声になって言う。
母さん……?
俺の前に母さんが来たのかな……?
……ってことはもとの場所に戻った?
「アシト?」
誰かが俺の頬をペチペチと叩く。
地味に痛い……。
「……みんな、アシトから離れて」
母さんが言う。
数秒すると、俺は地面につく。
ルイナが俺を放したのかな……?
そして、足音が遠さがるのが聞こえた。
母さん……何するんだろう……。
目が開けられないから何がどうなってるのかわからない。
そのとき、俺の隣で『パチパチ』って音がする。
……手を叩く音じゃない……。
……待って、これって―――
炎の音……!
待って待って、めっちゃ熱いんだけど!
叫んだりできないからさらの熱い!
ちょっ、母さん!?
なにこれ!? 火葬!?
まだ死んでないんだけど!
ヤバい! 背中熱い!
―――そのとき、俺の目が開いた。
最初に見たのは、赤黒いい炎。
……って、んなこと思ってる場合じゃない!
熱い熱い!
俺の身体が動くようになっている。
だから急いで炎の中から出た。
出た先にいたのは母さん。
満面の笑みを浮かべて俺に手を振っている。
「あ、アシト。ヤッホー」
「ちょっ、『ヤッホー』じゃねぇよ! めっちゃ熱いんですけど!」
俺の身体にも炎がついている。
早く消化しなくちゃ……!
水の技……。
……俺水の技なんか持ってない!
どうしよう!
「そんなにあせんなくても大丈夫だよ。はい、水」
水……!
俺は母さんの握っているものを見る。
……ちっちゃい水筒……。
こんなんじゃ消化できないって!
「ハハハ、ごめんごめん。冗談だよ」
母さんは笑いながらそう言って、手を叩く。
すると、俺の身体についていた炎が消える。
「アシトが毒に侵されてたから、解毒しただけだよ」
解毒って……炎であぶれば解毒できるの……?
「いやー、アシト、負けちゃったんだー」
「あれは……」
「セトオギロくんが一撃で倒したのに」
「セトオギロが強すぎるだけだ……」
負け惜しみ言ってる俺、ダサ……。
「……そういえば、みんなは?」
「向こう側にいるよ」
母さんが俺の後ろを指で差す。
振り向くと、あの三人がいた。
めっちゃ涙の跡が……。
これからどうしよう……。
「アシト……」
ルイナがゆっくりと俺に近づく。
そして俺の前まで来た。
「あっと……ルイナ……?」
「アシト……」
ルイナは再び俺の名前を呼ぶ。
「よかった……」
ルイナは大粒の涙を流してつぶやく。
……怒られなさそうでよかった……。




