第302話 全ての始まり、邂逅編 〜1〜
ミーラとシシ、そしてカイトの死亡をキトナから聞いたのは、3人が行方不明になった翌日だった。
夜中にムルノはキトナに呼ばれ、そのときに話された。
キトナはいけしゃあしゃあとその事実を語った。
おそらく、ムルノに話す前に激しい悲しみと怒りを消したのだろう。
ムルノもそれと同じ感情を持った。
とりあえず家に帰ったが、なにもする気になれなかった。
これからの物語は、そのあとのことだった。
ムルノの家のドアを誰かが叩く。
キトナやルイナかと思ったムルノはそのままドアを開ける。
だが、目の前に立っている者はその者ではなかった。
「よお、初めまして」
嗤いながらそう言う男には特徴があった。
右頬に紋様が刻まれていたのだ。
「ゼルロ様からの命令だ。お前とお前の仲間を全員殺す」
言い終わるが早いか、男はムルノの頭を掴み、持ち上げる。
ムルノは変に抵抗はしなかった。
「仲間の居場所を言え。言わなかったら殺すぞ」
手に力を入れる男。
それでもムルノは抵抗しなかった。
「……なんで?」
逆に訊くムルノ。
「なんで私たちを殺す必要がある?」
「お前には関係ないことだろ。さっさと言え」
「……言うつもりはないみたいだね。だったら『無』にするしか――」
ムルノが能力を発動しようとしたときだった。
ムルノの頭を掴む力が弱くなる。
次の瞬間には、男は倒れていた。
背には刀で刺されたような跡があり、そこから血が流れている。
「――大丈夫? 怪我は?」
気がついたらムルノの前にいる少女。
手には男を刺したと思わしき刀を握っている。
「……大丈夫……」
「よかった。君、ここで一人で暮らしてるの?」
「……うん」
「寂しくない? 食べ物とかある?」
こちらを優しく包むような声で言う少女に対し、『敵ではない』と察したムルノは少女への警戒を解く。
「私はさ、ムサーナっていうんだ。君は?」
「……ムルノ……」
「そっか、ムルノね、覚えた。……で、食べ物あるって言った?」
「……うん」
「だったらさ……言いにくいんだけど……なにか食べさせてくれないかな? お腹ペコペコなんだ」
「……いいよ。入ってきて。その前にこの死体を――」
ムルノは目の前に転がっている男の死体を能力で『無』にしようとする。
「――あ、任せて!」
その前に、ムサーナが言う。
すると、その死体が消えた。
ムルノの能力と同じように、『無』になったのだ。
ムルノが能力を発動したわけではない。
つまり、この少女の能力だった。
それに驚きながらも、ムルノは家の中に入った。




