第30話 マユへ
「……んん……」
マユが目を覚ます。
マユは今、俺のベッドで寝ている。
マユ以外はみんな母さんに治療してもらった。
ルイナは骨が折れてたみたいだけど、それも治せたのか……母さん……。
「えっと……起きたか……」
俺がマユに言う。
ちなみにこの部屋には俺とマユしかいない。
そして俺は言わなければいけないことがある……。
「あ……アシトさんが助けてくれたんですか……。ありがとうございます……」
「あ、それはいいんだ……。それと……母さんから伝言がある」
俺が深刻そうな声で言うから、マユも深刻そうな顔をする。
「―――お前の翼、もう治らねぇって……」
マユは目を大きくする。
そして数秒沈黙ができた。
そのあと、マユの目から大粒の涙が流れた。
「あ、ごめんなさい……!」
マユは自分が泣いていることにやっと気づいたみたいだ。
そして慌てて涙を手で拭く。
俺はハンカチを出して、マユの涙を拭く。
やがてマユは号泣する。
「マユ、俺、少し向こう行ってくる」
俺はマユにハンカチを持たせ、部屋から出ていく。
「……ありがとう、アシト」
部屋から出た瞬間、母さんが俺に言う。
母さんは部屋のすぐ目の前にいた。
「いや、俺は大丈夫だ。今回俺、何も痛い思いしてないし」
「……骨折った人がよく言うよ」
そう、俺は骨を折っていた。
あんまり痛くなかったから気づかなかったけど。
今は腰と脚に包帯を巻いている。
「みんな帰ったか?」
「うん」
そうか……。
学校のみんなも死んじまったし……。
そのときだった。
玄関のドアが『ドンドン!』と叩かれる。
「アシト! アシト!」
ルイナ……?
俺は急いで玄関まで行き、ドアを開ける。
そこには息を切らしているルイナがいた。
「ルイナ……? どうした?」
「村が……! 村が……大変なことに……!」
「村……?」
「私たちが住んでるところが……みんな死んでる……!」
! みんな死んでる……?
「ああ、いた! アシト!」
今度はセトオギロが来る。
こいつも息を切らしている。
「ヤベェよ! みんな死んでる!」
お前もか……!
「……操者か……」
後ろから母さんの声がする。
振り向くと母さんがいた。
「まず先に村でアシトを捜していないことがわかった……。それで学校に行ったのか……」
え……俺を捜してた……?
確かにあのオペラトルスとかいうやつ、『お前がアシトか』みたいなこと言ってたな……。
「……あの……私……どうしたらいいですか……?」
ルイナが泣きそうな顔で母さんに言う。
母さんはしばらく考えたあと、ルイナに言う。
「……違う村で生活するしかない……。それと、アシトと関わるのをやめる。それが一番」
……え? 関わるのをやめる……?
「アシトと関わると、今日学校で戦ったようなやつとたくさん戦わなきゃいけなくなっちゃう。死ぬ可能性はかなり高いよ」
「……死ぬ……?」
「うん、死ぬの」
ルイナはしばらく何も言わなかった。
セトオギロも同じだった。
「……家族も……友達も……みんな死んじゃったし……もう何もない……。だから……死ぬのは……」
「じゃあ訊くよ? アシトとどうする?」
「……一緒にいたい……」
……マジかよ……。
死ぬんだぞ……?
ってかこの状況でさ、一番すごいの俺だよね?
なんで落ち着けられるんだ……?
「俺はもう決まってる。ルイナと同じだ」
セトオギロは俺を見る。
そんな早く決断していいのかよ……?
展開早くない……?
なんでルイナとセトオギロがこんな早く決断できたかはちゃんと理由がありますからね! 『展開早くて読みたくないわ』って思っても読んでください……お願いします……。




