第3話 学校に行ってみた
あれから約三十分後
俺は色々な人に道を尋ね、やっと学校に着いた。
……でもなんかみんな俺のこと無視する……
しかも何人も舌打ちしてきたし。
なんで……?
俺はそんなことを考えながら学校の中に入る。
それとさ、あることに気づいたんだ。
この学校、クラスが一つしかない!
俺は教室に入る。
黒板に紙が貼られていた。
座席表だ。
なぜかカタカナで書いてある。
この世界にもカタカナがあるのか……
とりあえず席に座ろ。
俺の名前、俺の名前……
俺の名前分からねぇ!
どうしよ!
異世界転生したとき困るやつだよね! これ!
母さん俺のことをなんて呼んでたっけ……
……『あなた』って呼んでた!
ヤバい! こうなったら、俺以外の人が座るのを待とう!
それで残った席が俺の席だ!
よし! あとは待つだけ!
……っていっても何してよう……
座ってる人に挨拶でもするか。
俺の同級生だし。
「お、おはよ……」
俺は目の前の席に座っている、狐みたいな男に挨拶する。
しかし、そいつは俺のことを無視する。
なんでみんな俺のことを無視するの……?
そろそろ泣くよ?
十分くらいすると、全員が席に座った。
残ったのはあの端っこの席!
俺はその席に座った。
「おはよ! アシトくん!」
隣に座っている女が俺に話しかける。
黒い猫のような耳に黒い尻尾が二本……
てかこいつ、今俺のこと『アシト』って言った?
よし、俺の名前はアシトか!
ありがとう、教えてくれて。
「あ、ああ。おはよう……」
話しかけてくれる人だ……!
いや、人じゃないか。
なんでこいつは俺の名前知ってたんだ……?
こいつ……俺の友達か……?
「あ! 今『なんでこいつ、俺の名前知ってるんだ?』って顔したでしょ!」
その猫耳のやつはドヤ顔をして俺に言う。
「座席表見てわかったんだ!」
そっか……。
まぁ、数少ない話し相手だからもっと話そ。
「そ、そうなんだ……これからよろしく……」
「うん! 私はルイナ! よろしく!」
へー、この猫耳、ルイナっていうのか……
「ちょっと、ルイナ! やめなって!」
ルイナの隣に座っているウサギの耳がある女がるいに言う。
しかもその女、俺のことめっちゃ睨んでくるんだけど。
「……なんで?」
ルイナがその女を睨みながら言う。
知らない女が俺を睨み、ルイナがその女を睨む。
なんだこの状況……
「なんでって……あいつ、鬼だよ?」
「鬼だから何? 逆にさ、おかしいと思わない? なんでそんな理由だけで差別されなきゃいけないの?」
おおー、論破合戦始まるか……
そう思ったけど、あの女がルイナから目をそらす。
「大丈夫だよ。私はアシトくんのこと、変なふうに思ってないから」
ルイナは優しい目で俺を見る。
……これさ、めっちゃ感動するよね、普通。
でもさ、俺何も知らないから意味わからないんだけど。
多分、鬼である俺のことをみんな嫌っているらしい。
なんでこんな世界に転生したんだ……俺……。
みんな大好き猫耳です