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第298話 終向決戦邂逅編 〜4〜

 しばらくはセトオギロとムルノの攻撃のターンだった。


 セトオギロがムサーナを殴り飛ばし、その方向にいるムルノがさらに殴り飛ばす。

 血が地面に落ちる音が響く。


 「行くぜ、ムルノ! このまま殺すぞ!」

 「……わかってる!」


 セトオギロが再び殴り掛かる。

 その反対方向からはムルノも殴り掛かる。


 「――無解(むかい)


 聞こえるムサーナの声。


 それを聞いた瞬間、ムルノは、ムサーナではなくセトオギロを殴り飛ばす。

 本気の拳だったので、セトオギロは右肩を骨折した。


 刹那――周囲を満たす光。

 それは一瞬で止んだ。


 ムルノの行動の意図が理解できなかったセトオギロはムルノを見る。

 その時に気づいた。


 ムサーナの右頬にあったはずの紋様が消えていて、傷も消えている。

 そして、ムルノの服から出ていたはずの両腕が消えていることに。


 『両腕が無にされた』、そう気づくのに時間は要さなかった。


 次には、『セトオギロがこうなることを避けるためにセトオギロを押して少しでもムサーナから離した』というムルノの考えにも気づいた。


 「痛みはないはずだよ」


 相変わらずの無表情と感情を感じさせない声で言うムサーナ。


 「……今はね」


 ムルノの頭を掴むムサーナ。

 腕がないため、抵抗のしようがないムルノは脚をばたつかせるしかなかった。


 「大丈夫、もうそろそろ『無』になるから」

 「やめろ!」


 二人のもとに向かうセトオギロ。


 「もうあなたは大人しくしてて、お願いだから」


 セトオギロに手を伸ばすムサーナ。

 何か技が来ることはセトオギロにもわかった。


 しかし今の体力的に躱せるかどうかはわからない。

 それでも進んだ。

 ムルノが殺されないように。


 ――クソ……! なんでこんなんになるんだよ……!

 ――俺は……護らなきゃいけねぇのに……!

 ――これ以上、死なせてたまるかよ……!


 セトオギロの脚に力が入らなくなり、そのまま派手に転びそうになる。

 このままでは頭から地面にぶつかり、死ぬだろう。


 そう判断したムサーナは手を引っ込めた。


 ――絶対に――!

 ――死んでたまるか!


 その瞬間だった。

 転びそうになったセトオギロは手を地面につけ、前転するようにして起き上がった。


 そのセトオギロの顔を見て驚いたムサーナ。


 なぜならセトオギロの右頬にトルアキナ族特有の紋様が浮かび上がっていたからだ。


 「ムルノを放せ――」


 「――トルアキナ族同士、戦おうぜ!」

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