第293話 終向決戦児戯編〜10〜
外――もとの世界に戻ると、最初に見えたのはヒョウガの無邪気な顔。
「あ、やっと出てきた! 僕を殺す作戦、できた?」
「……まぁな」
「ってか、また一人? さっさとザコは殺しときたいんだけど」
「だったら殺せばいいじゃねぇか」
ヒョウガの後ろから聞こえる声。
ヒョウガはそれにかなり驚いたみたいで、急いで振り向いた。
そこにはケンが立っていて、握っている刀の切っ先をヒョウガに向けてる。
ヒョウガはさらに驚いたみたいで、動きが止まってる。
もちろん、そこには隙がなかった。
ヒョウガは、重症を負っているケンが立っていることに驚いてるんじゃないと思う。
ケンの表情を見て、さっきの俺みたいに驚いてる。
「……なに? 覚醒? 僕たちみたいにできるの? それとも、自分を主人公だと勘違いして、カッコつけてるだけ? 正直、今のお前には勝ち目はないよ? お前は怪我してるけど、僕は無傷。あの鬼ですら僕にやられそうなのに、お前がどうやって――」
「それが証拠だ」
隙はなかったけどこっちを見ていなかったから、俺はヒョウガに斬りかかる。
全身を襲っている苦痛にはもう慣れた。
ヒョウガは俺の炎の斬撃を躱す。
……こいつのこの行動で確信した。
やっぱり何も知らないガキにはこの方法が一番だ。
世界がどれくらい、自分の思い通りにならないかを教えてやることが。
ケンもヒョウガに斬りかかってる。
「もう! 邪魔だな!」
ヒョウガはケンに掌を向ける。
するとケンの動きが急に遅くなった。
俺にしたみたいに、ケンにも能力を使ったんだ。
だけどケンは走ることを止めることはない。
「本当に厄介なんだよ!」
ヒョウガの周囲に現れる氷柱。
それは俺とケンに向かった。
俺は炎で蒸発させて、ケンは躱したり刀で防いだりしてる。
けれど、ケンの両脚に氷柱が刺さる。
そのときにケンは思いっきり転んだ。
「アハハハ! やっぱザコ!」
それを見て笑うヒョウガ。
これも証拠だ。
こいつは気づいてない。
ケンの握ってる刀が、なくなってるということに。
俺はしっかりと見えた。
あいつは、自分の影の中に刀を入れていた。
もうそろそろいいな。
こいつは充分に焦ってる。
さっきまで俺の刀を壊してたのに、急にそれをやめて躱すだけになった。
そして気づかない、ケンの行動。
さらに、喋ることをやめてない。
こいつは焦りすぎて、冷静さを失っている。
今だ、今しかない。
こっからのことは考えない。
体力全部を使って殺す。
もう1分もしないで、この戦いを終わらせる――!
作者の定期テストが無事(?)終わったので、投稿を再開します。ありがとうございました。




