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第292話 終向決戦児戯編 〜9〜

 地面の中。

 それは俺が入ったことのある世界だった。


 確か学校にフィランが襲撃に来たときだっけ?

 あのときは昔の仲間――ラーサの能力で俺はそこに入った。


 ……いや、違う。

 今俺がいる世界はあのときとは違う。


 「――アシト!」


 後ろから聞こえる声。

 振り向くと、そこには一人の男がいた。


 そいつの正体がケンってことに気づくのには時間がかかった。

 別にあいつが変身とかしたわけじゃない。


 一つだけ変わってたものがあったから、すぐにケンだと気づけなかったんだ。


 それは表情だった。


 いつものこいつの表情は、みんなとは違った。

 みんなは完全に覚悟を決めたという表情を浮かべているのに、ケンだけはその場だけの表情を浮かべていた。


 だけど今のこいつは違う。

 みんなと同じ――完全に覚悟を決めた顔をしている。


 「アシト! まだ戦えるか!」

 「……ああ、戦える」

 「だったら俺と一緒に戦ってくれ!」


 正直、意外だった。

 こいつが自ら戦おうとするなんて、考えられなかったからだ。


 「お前……怖くないのか……?」

 「……怖いよ……!」


 急に声が小さくなるケン。

 一瞬こいつが泣いてるかと思ったけど、違った。


 悲しみと怒りと覚悟が混じった声をしていた。


 「だけど……レツを助けたいんだ……! 最後まで……カッコ悪いところを見せたくない! あいつには、カッコよく見られたいんだ!」

 「……本気で言ってるか?」

 「本気だ! あいつに全てを見損なわれるのが、死ぬよりも嫌だ! だから俺も戦う! 頼む! 手伝ってくれ!」


 文字だけで見ると、こいつがただ命を捨てることを恐れていないやつだと思うかもしれない。

 だけど俺はそうは思えなかった。


 こいつに対するレツの想いは、俺の想像以上だったんだ。


 ケンにとってレツはただの仲間じゃない。

 そう、こいつの顔が言ってる。


 「……わかった。だけど最後に訊く。お前にとってあいつは強すぎるかもしれない。本当に死ぬかもしれないんだぞ。いいのか?」

 「覚悟は決まってる」

 「……じゃあ外に出してくれ。一緒に戦うぞ」

 「わかった。それともう一つ言いたいことがある」


 突然俺の腕を掴んでくるケン。

 その力はとても強かった。


 「今まで生意気言って……ごめん……」

 「……気にすんな。もし俺がお前の態度に本気でイライラしてたら、追い出してた。礼はいいから戦うぞ」

 「……ああ!」


 俺たちは一斉に、その世界から出た――。

※作者の用事で、12月の初めの方まで投稿を一時的に中断させていただきます。その理由のうちの一つに定期考査があります……。よろしくお願いします。

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