第291話 終向決戦児戯編 〜8〜
『刀』の能力と剣炎を使って、どんどんヒョウガに攻撃をしかける。
ヒョウガも学習したみたいで、刀を氷で防ごうとしない。
『自分の氷では簡単に蒸発させられる』って気づいたんだ。
手に持ってる短刀で刀の柄を攻撃して、刀を粉々にしてる。
向こうの体力が先になくなるか、俺の体力が先になくなるか。
多分、俺のほうが先になくなる。
能力を二つ同時に使ってるからだ。
顔には出してないけど、だいぶ疲れを感じ始めてる。
俺が力尽きたあと、レツとケンがヒョウガと戦ってくれるとは考えにくい。
レツも限界みたいだし、ケンは重症を負っている。
だから俺がやるしかないんだ。
こいつもどうせ覚醒状態になることができる。
今まで戦ってきた操者は、みんな覚醒してきた。
今のところ全部勝ててるけど、こいつの覚醒はヤバい気がする。
だから今回は、それをさせる前に殺す――!
「――その攻撃、そろそろ飽きたよ」
俺の出した刀を壊すと同時に、そうつぶやくヒョウガ。
そこから嫌な予感がした。
俺の予感が外れてくれることを願ったけど、残念ながら当たってしまった。
「氷解――」
その瞬間――周囲の温度が一気に下がった気がした。
ヒョウガを見ると、右頬にあった紋様が消えている。
……やられた。
「それじゃ、行くよ!」
ヤバい――来る――!
刀を握ってかまえようとしたけど、ヒョウガの攻撃は想像以上だった。
一瞬、こいつの攻撃だとは気づかなかった。
俺の全身に、まるで火傷を負ったかのような鋭い痛みが走った。
この感じ、どこかで感じたことがある。
そう、ドライアイスに触れたときみたいだ。
冷たいと同時に熱いとも感じて、鋭い痛み。
その痛みのせいで、集中を妨げられていた。
俺は高速で向かってくるヒョウガに気づかなかった。
そのまま俺はヒョウガに殴られて、吹き飛ぶ。
殴られた腹に、さらなる激痛が走る。
ヒョウガは俺よりも先に回り込んでいて、俺の後頭部を掴む。
そしてその状態で俺の背中を数発殴ったあと、そのまま投げた。
「本当の終わり!」
ヒョウガがなにかを投げる。
さっきからこいつが握ってた、短刀だ。
それは俺の背中に深く刺さった。
これ以上の痛みは存在しないんじゃないかって思うくらい、痛い。
今まで何度も痛い思いをしてきたけど、ここまでじゃなかった。
正直、人によっては死んだほうがましと思うんじゃないか?
そうして意識が薄くなっていく中、俺は感じることができた。
地面が、まるで水みたいになっていくことを。
俺は地面の中に沈んだ――。




