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第290話 終向決戦児戯編 〜7〜

※今回は三人称視点です。

 これは数刻前の話。


 ヒョウガという見たこともない、そして今まで感じたこともない不気味さを全身から発している少年型の操者(オペラトルス)を目にして、かなりの恐怖を覚えるレツとケン。


 それはアシトも同じらしかったが、アシトは攻撃をしかける。


 それに倣ってレツもヒョウガを攻撃しようとした。


 そのときだった。

 レツが今立っている地面が、液状化し、レツはそのまま地下へと沈んだ。


 地下は水中のように浮力と重力がはたらいていたが、呼吸はできる。

 空間は広がっているが、なにか目立ったものはない。


 その中で自分の状況を確認しようとしてると、誰かが後ろからレツの背中を軽く叩く。

 それはケンだった。


 「ケン……!」

 「レツ! お前、怪我してないか!?」


 『自分がヒョウガという者に攻撃されたわけではない』と知ったレツはすぐに安心する。

 だが、その安心もすぐに消えた。


 ケンの能力は『影』。

 自分たちを影の世界に一時避難させてくれたとわかった。


 この影の中からでは敵に攻撃することは不可能。

 つまり、ここでなにか策を考えるものだと思っていた。


 しかしレツは、次に発せられたケンの言葉でそうではないと知った。


 「ここから逃げるぞ! 早くしねぇと! 俺たちもアシトみたいに殺される! こんなとこ、早く出ていって、二人でゆっくり暮らそう!」


 『アシトみたいに殺される』。

 アシトはまだ生きており戦っているのに、まるで負けが確定しているかのような言い方。


 『二人でゆっくり暮らそう』。

 今まではいろいろな者と暮らした。

 しかし『二人』ということは、その者が全員いなくなるということ。

 皆がこの戦いで死亡が確定しているかのような言い方。


 それがレツには納得できなかった。


 だが、ケンとの接し方はレツが一番わかっている。

 ここまでは日常のものとして取り入れていた。

 本当に理解できなかったのは、次の言葉からだった。


 「だいたい、アシトとかを頼った俺たちがバカだった! キトナさんとかアシトなんかの助けなんてなくても生きていけた! あいつらが戦って死ぬのは自業自得だけど、俺たちが死ぬ理由はどこにもない――!」


 刹那――レツは本気でケンを殴っていた。


 急すぎるレツの行動に、動きが止まるケン。


 「な、なにするんだよ!」

 「……なんでさ、そういうこと平気で言えるの?」


 静かだが、強いなにかが込められているレツの言葉。


 「出して、ここから」

 「……出すわけねぇだろ! 俺たちは逃げよう! 目を覚ませ!」

 「いいから出してって言ってるの!」

 「だったら俺を攻撃すればいいだろ! 俺が弱まれば、能力は解除される」

 「…………」


 黙り込むレツ。

 それを拒絶と解釈したケンは、痛みに耐えながら安心する。


 「できないだろ! 俺とお前は昔からの――!」


 次の瞬間――ケンの脇腹に激痛が走っていた。

 見ると、レツが刀でケンの脇腹を刺していた。


 「……ずるいよ、逃げてばっかで」


 レツはそう言うと、刀をケンから抜く。

 それとほぼ同時に、ケンの能力が解けた――。

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