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第289話 終向決戦児戯編 〜6〜

 ヒョウガに高速で向かう刀。


 ヒョウガはその間に氷の壁を出して、それを防ごうとする。


 さぁ、ここから見せてやるよ、テメェの能力が劣ってることをな。


 氷の壁に触れる炎。


 刹那――氷の壁が蒸発した。


 予想通りだった。

 あの壁に触れたのは、炎が二つ分。


 二倍の炎に一気に触れたんだ。

 蒸発するのが早いのは、当たり前だ。


 急に音を立てて蒸発した壁を見て再び目を大きくするヒョウガ。


 けれど刀はそのままヒョウガに向かう。


 ヒョウガはそれを紙一重で躱す。


 それとほぼ同時に、刀はボロボロに崩れた。


 俺はそのまま口に咥えてる刀を手にうつす。


 「……お前の能力は同時には使えないはずだよね? 『毒』だったら『毒』だけ、『炎』だったら『炎』だけだよね?」

 「やっぱり頭もガキみたいだな。どうなってるのか理解できないのか」

 「……どういうこと? 話と違うじゃん」

 「自分で考えろ。ガキだからってなんでも教えてもらうとは思うな」


 俺は今握ってる刀一振りをそのまま投げる。

 ヒョウガはそれも躱し、俺に向かって来た。


 氷の壁じゃ防げないことは、もう完全に理解できたらしい。


 俺は脇でおさえてる刀二振りを手にうつし、それも投げる。


 ヒョウガはそれを躱すと同時に、氷柱を出現させて、それを俺に向けて高速で投げてくる。


 この速度と距離、躱すことはできない。


 だったら仕方ない。

 あのガキに、タネを教えてやるか。


 俺は能力――『刀』の能力を使う。


 その瞬間、俺の両手に刀が現れた。


 俺は昔、『刀』の操者(オペラトルス)と戦ったことがある。

 そいつは、刀を出すことができた。


 きっと、あれは無限に出せる。


 それと俺の技――剣炎(ソードフレイム)を組み合わせれば、最強になる。


 「剣炎(ソードフレイム)


 刀身が炎になる。


 俺は今度はそれを投げずに、ヒョウガを斬ろうとする。

 ヒョウガも同じ考えらしく、短刀で俺に攻撃をしかけてきた。


 俺は普通に刀を振りかざしたけど、ヒョウガはちゃんと考えてるみたいだった。

 こいつは俺の、炎になった刀身を狙ってない。


 俺の握ってる、柄を狙って来た。


 柄は炎じゃない。


 そして、俺の能力はそこまで威力が高いわけじゃない。

 つまり、刀が脆いということだ。


 ヒョウガの短刀だ柄に触れると、刀は簡単に崩れた。


 「やっぱりザコなんだ!」


 ようやく笑顔になったヒョウガ。


 このときを待ってた。


 こいつは調子に乗るくせがある。

 生物はみんな、調子に乗っているときが一番の隙となる。


 このガキに、それを教え込ませなきゃいけない。


 こいつは、俺の奥の手がこれだと思ってる。


 だったらそう思わせといて、油断してるときを殺すしかない。


 それなら、もうちょっとこいつをもっと弱まらせなきゃ……。

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