誰288話 終向決戦児戯編 〜5〜
『泣き止め』って言ったけど、ケンはレツの言葉が余程ショックだったらしく、まだ涙を流してる。
レツを見てみるけど、いつまでも一人で戦えそうにはなさそうだった。
ヒョウガは無傷っぽいけど、レツはすでに腕を斬られてる。
俺も戦うしかない。
ヒョウガの攻撃を受けて出来た傷はかなり痛いけど、あいつの能力のおかげで出血は止まってる。
だからサポートくらいはできる。
俺はヒョウガから『毒』の能力を解除して、次に『水』の能力を使うことにした。
俺の周囲に水滴が無数に現れて、それが一斉にヒョウガに向かった。
「……邪魔だなー……」
ヒョウガは氷の壁を新しくつくって、それで水滴を防いだ。
俺の威力じゃあの壁は壊せない。
鬼特有の炎でも溶かすのに時間がかかったんだ。
ヒョウガの氷に勝てるような能力をさがすために、ひたすら能力をヒョウガに使ってみる。
『雷』、『風』、『影』、『地』、『花』。
全部ダメだった。
俺のやつじゃ威力が弱すぎる。
なにか他にいい方法はないか……。
今まで戦ってきた操者の中に、相性のいいやつはいないか……?
あの氷の壁は鬼特有の炎でしか溶かせない。
なら剣炎とか発射炎でたくさん溶かしたいけど――。
――? 『剣炎』……?
……その方法があったじゃん。
俺は今使ってる『炎』の能力を解除する。
そのときになってやっと気づいたけど、レツももう限界そうだった。
疲れが動きに影響してる。
「結局ザコはどんなに変わってもザコなんだよ」
ヒョウガの斬撃を刀で防ごうとするレツだけど、それに耐えきれず吹き飛んだ。
そのときに刀を放してしまって、それは地面に落ちる。
「僕はあの鬼と戦いたいの。お前には全く興味がないよ」
ヒョウガは倒れてるレツのところにゆっくりと向かって、掌をレツに向ける。
そのままレツを殺す気だ。
でも、俺の準備は整った。
両手と口、両脇に刀をしっかりと握ってる。
そして、心の中で唱えた。
『――剣炎』
その瞬間、それらの刀全ての刀身が、一斉に炎になった。
急に気温が上がった気がする。
それに気づいたのか、ヒョウガは俺のほうを目を大きくして見た。
でもそれは一瞬のことで、すぐにまたあの無邪気な顔に戻る。
「へぇ、すごいや! そんなに炎を出せるんだね! 僕とは正反対の能力だから、驚いちゃうなー!」
やっぱり不気味だった。
すぐにその表情をなくさせなきゃ……。
俺はまず、両手に握ってる二振りの刀をヒョウガに向かって投げた。
俺の本気はここからだ――。




