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第285話 終向決戦児戯編 〜2〜

 「ほらほら! もっと攻撃してもいいんだよ! 僕を楽しませてよ!」


 愉悦に満ちた表情と声を発しながら、ヒョウガは攻撃を続けてくる。

 その攻撃はワンパターンだった。


 俺たちの頭上に氷柱を出して、それを高速で落としてくる。

 ただそれだけだった。


 レツとケンもそれを躱してて、俺も簡単に躱せる。


 それが怖かった。


 こいつが子どもの姿をしているからって弱いって決めつけるほど俺はバカじゃない。


 見た目が幼い姿をしていても強いやつはいる。

 ムルノとかがいい例だ。


 そしてこいつも操者(オペラトルス)だ。


 こいつはなにかを隠しているはずだ。

 それがわからない限り、迂闊に攻撃はできない。

 だから早めにこいつが考えてること、技を知りたい。

 一旦、技を喰らってみるのも手だ。


 だけどレツとケンにそんなことさせれない。

 あいつらじゃまだ経験が足りない気がする。

 新しい攻撃が来ても躱せる確率は低いかもしれない。


 俺が行くしかないみたいだ。


 俺なら最悪、蒸発させられるかもしれない。


 攻撃を仕掛けるか――。


 俺は『毒』の能力をヒョウガに使った。


 その途端、ヒョウガが苦痛に満ちた表情を浮かべ、(かが)む。


 今が最大の隙だ。


 殺すことはできないにしても、少しのダメージを与えることはできる。


 「ハッ! 体力切れか!」


 ケンがヒョウガを見て笑う。

 そしてそのまま斬りかかった。


 あいつ……もっと自分の能力を使えよ……。


 ケンとは対照的に、レツはある程度離れた距離からヒョウガを見ている。

 レツも俺と同じ考えを持っていたらしく、あいつの攻撃を知りたいみたいだ。


 ケンの刃がヒョウガに触れる――。


 「――なーんちゃって」

 「――!?」


 身体を起こし、両掌をケンに向けるヒョウガ。


 その瞬間、ケンの左右に、『氷の壁』が現れた。


 それは高速で動く。

 まるで、ケンを潰すみたいに。


 俺はすぐにその近くに向かった。

 壁はもう完全に閉まりかけている。


 「発射(ファイアフレイム)!」


 俺の掌から放出される炎。

 それは氷を包むと、氷は蒸発した。


 前みたいに一瞬で蒸発したわけじゃない。

 多少の時間が必要だった。


 ケンを見ると、見た感じは無事そうだった。

 肋骨を押さえているから、多分そこは骨折してると思うけど。


 「その炎、すごいや!」


 すぐ後ろから聞こえる声。

 咄嗟にその方向を見ると、ヒョウガの姿があった。


 殴りかかってきている。


 こいつは武器を持っていない。

 殴られたとしても、致命傷には程遠いはずだ――。


 そう思った自分がバカみたいだった。

 こいつは武器を持っていた。


 さっきまで腰にかけていた、短刀を。


 その短刀を、確かに握っていた。


 俺は脇腹を斬られ、その方向に吹っ飛ぶ。


 「終わりだよ!」


 俺の頭上に現れる氷柱。

 それは高速で、俺に向かってきた――。

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