第123話 偽物は勝てない?
「……遅いな」
女はそうつぶやいて、俺を殴ろうとする。
俺は刀を前に出す。
女の拳が炎になった刀身に触れた。
その瞬間、女の拳が煙になった。
でも女は怯むことなく、脚で俺を蹴り上げようとしてくる。
さすがにもう喰らいたくない……。
俺は後ろに避けた。
「……偽物の刀か」
女は、もう跡形もなくなった拳を見る。
着物の袖だけになってる。
「偽物は本物には勝てない。偽物の刀で私を殺せはしない。傷すら与えられないのだ」
いや、傷与えてますけど?
まぁ、そのことはいい。
とりあえず、片腕は使えなくなってる。
少しは有利になったかな……。
「私は本物の刀をつくり出すことができる」
いや、知ってますよ。
さっき見せてくれたじゃん。
女は俺を睨んでる。
その瞬間、俺の後ろに気配を感じた。
急いで振り向く。
刀が超高速で俺に向かってきていた。
避けなきゃ……。
そう思ってたら、桜の花びらみたいなのが俺の前を通る。
それが刀を受け止めてくれていた。
ハナの技か……。
俺は女を見る。
女はさっきのところに立っていた。
特に変わったことはなさそう――
――いや、腕が生えてる……?
さっき失くしたはずの腕が、ちゃんと女にあった。
再生か……?
そういえばフィランだって、腕を再生させてたな……。
「私は刀をつくり出すことができる。私は刀だ。つまり、私は、私自身をつくり出すことができる」
……つまり、再生できるってことかな?
じゃあ跡形もないように倒せばいいだけだ。
「厄介な能力だ」
キイラが俺の隣に来てつぶやく。
本当にそうだよ。
厄介すぎる。
「今回の戦い、俺は不利だ。能力的に」
「私も同じです」
気づいたらハナも隣に来ていた。
二人とも物理攻撃だからな……。
マユも物理攻撃って感じがする。
マユは炎の技もできた気がするけど、俺のほうが火力は上だ。
セトオギロが一番相性よさそうだけどな。
なんか『命を吸収する』って技とかなかったっけ?
まぁ、セトオギロがそうしないってことは、そうしても意味がないってことなんだと思うけど。
やっぱり俺しかできないのか。
こういうときにトルアキナ族化できれば楽なのにな。
自分でコントロールはまだできない。
トルアキナ族化するなら、あの女の血を体内に取り込めればできるんだよな?
ならもう一度、俺の体内に血を入れるか?
でもあいつ、血なんて流すのか?
皮膚が刃だから、皮膚を破ることは無理な気がするけど……。
……いや、俺がトルアキナ族化しなくていいんだ。
セトオギロにやらせれば……。




